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» 2006年11月10日 11時14分 公開

Interview:ピンチをチャンスに変えてきたCitrix、十億ドル企業の仲間入りへ (1/2)

Citrixは、幾度の難しい時期を乗り越え、いよいよ今年、十億ドル企業の仲間入りを果たす。ピンチをチャンスに変えて成長を遂げてきた同社のマーク・テンプルトン社長兼CEOに話を聞いた。

[浅井英二,ITmedia]

 OS/2やWindowsのマルチユーザー化技術から歴史が始まったCitrix Systemsは、クライアント/サーバ型アプリケーションの仮想化機能によってサーバベーストコンピューティングというニッチ市場のリーダーの座に就いた。しかし同社は2003年、さらに広範なアプリケーションと情報へのアクセスインフラストラクチャーを提供するベンダーとなるべく、新たな成長戦略を発表、「ビリオンダラーカンパニー」になることを公約した。その目標年度である今年、同社の業績はこの第3四半期まで20%を超える成長を遂げており、十億ドル企業の仲間入りはほぼ間違いない。「Citrix iForum 2006 Japan」で来日したマーク・テンプルトン社長兼CEOに話を聞いた。

強いリーダーシップで同社の成長を引っ張るマーク・テンプルトン社長兼CEO

ITmedia 数年前、Citrix Systemsは「2006年に10億ドル企業を目指す」という目標を掲げましたが、達成できそうですね。

テンプルトン 単に売り上げの目標だけでなく、アプリケーションデリバリーインフラストラクチャーの分野をリードするというを戦略的な目標も達成できそうです。そして、これが最も大切なのですが、目標を達成することによって今後の継続的な成長も期待できると思います。

ITmedia Citrixの事業は、IBMでOS/2を開発していたエンジニアが、それをマルチユーザー化したところからスタートしたと思います。とてもユニークで、驚かされたのを覚えています。

テンプルトン 買ってくれるという人がいたということが、われわれの驚きでした(笑い)。それは冗談として、マルチユーザー版のOS/2は上手く動作しました。

ITmedia しかしその後、OS/2の開発が中止されたので、Windowsのマルチユーザー版に切り替えたわけですが、1997年になると今度は、Microsoftが同様の機能をWindows NT Serverに搭載することになってしまいました。何度も難しい時期がありましたね。

テンプルトン およそすべての企業には難しい時期があります。そして、優秀な企業であればあるほど、困難な時期にその本質を見せ、困難を打ち負かすことができるものです。Citrixはビジネスの課題や難しい時期に正面から対応していく、という能力を発揮しました。そして、われわれは幸運に恵まれました。それに感謝することも大切ですね。

ITmedia 特に、Microsoftが「WinFrame」(現在のCitrix Presentation Server)の機能をWindows NT Serverに搭載することになったとき、CitrixはMicrosoftとの難しい交渉をまとめ、現在の礎をつくることに成功したと思います。

テンプルトン 1997年当時、わたしはマーケティングを統括する副社長を務めていました。両社は将来のWindows NT Serverのマルチユーザー化に関して、共同で開発していくことを合意しました。その成果がMicrosoftのTerminal Servicesであり、さらに高い付加価値を提供するわれわれのPresentation Serverです。

 わたしの経験では、Microsoftにとって戦略的、戦術的に良いアイデアであれば、彼らはサポートしてくれます。われわれの提案は、WindowsやOfficeのライセンスを伸ばすことに寄与しましたし、Windows NTをデータセンターに浸透させていく、という戦略を後押ししました。マイクロソフトの上級幹部は優秀なビジネスマンです。優れた条件のビジネスを持ち込めば採用してくれます。

 多くの人が、当時のMicrosoftとCitrixのあいだに感情的なもつれがあったと考えましたが、そうではなく、厳しいビジネス上の交渉があったのです。

新しいビジョンで成長機会を生む

ITmedia Citrixは2003年、それまでの「サーバベーストコンピューティング」のリーダーの座を捨て、「アクセスインフラストラクチャー」市場に事業を拡大することを決めました。なぜ、アクセスインフラだったのでしょうか。

テンプルトン クライアント/サーバ型が良い例ですが、かつては、90%以上の処理がクライアント側で行われていました。しかし、2003年になると、「サーバベーストコンピューティング」は一般化し、ユニークなものではなくなり、新しいビジョンが必要となりました。

 企業が必要としているのは何か? 企業にとって価値があるのは何か? を考えたとき、答えは「いつでもどこからでも安全にアプリケーションや情報にアクセスできる」ということでした。このアイデアを持つことによって、Presentation Serverの延長線上に、イノベーションを起こし、新しい技術や製品を提供していく機会が生まれた。今ではわれわれは14に上る製品を企業のIT部門に提供しています。

 われわれの技術や製品は、IT部門がいつでもどこへでもアプリケーションを配信(デリバリー)できるようにするもので、その結果としてユーザーはいつでもどこからでも安全にアクセスできるようになります。

 次の5年、10年、この「アプリケーション・デリバリー・インフラストラクチャー」において、ナンバーワンになることを目指していきます。ユーザーがどこにいても最もコストが低く、最も安全で、最もパフォーマンス良くアプリケーションを使えるようにしていきます。

 ご存じのように企業を取り巻く環境は、めまぐるしく変化しています。グローバリゼーションによって競争が厳しさを増す一方、テロや災害によるビジネスの中断というリスクも増しています。まさに「ダイナミック・ワールド」と言っていいでしょう。

 IT部門は、支店や家庭、海外の出張先、あるいはアウトソース先のパートナーにも快適なアクセスを提供しなければなりませんし、災害などによってビジネスの中断にも備えなければなりません。アプリケーション・デリバリー・インフラストラクチャーはますます重要になると思います。

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