認証の本命、いちエックス導入ア・ラ・カルト無線LAN“再構築”プラン(2/3 ページ)

» 2006年11月15日 08時00分 公開
[大水祐一,ITmedia]

複数ある方式、どれを選べばいい?

 さて、セキュア無線LANを実現する救世主として登場したこの802.1X認証、対応製品の採用を決めて後は必要な設定をすれば安心、安心……となればいいのだが、実はそう単純でもない。

 802.1X自体は、認証のフレームワークを定めた規格であり、何を認証のための資格情報に用いるかは規定していない。このため、いくつもの認証方式が登場しているのが現状だ。どのような認証方式が使えるかはメーカーや製品によって異なるが、現在メジャーな方式を挙げると表1の4つになる。そして、この中からどれを使えばいいのだろう、とIT管理者は悩むことになる。

表1●無線LANで使われるIEEE 802.1Xの方式
方式 主な実装メーカー 認証の方法 サプリカント 端末側の設定 サーバ側の設定 運用の手間
EAP-TLS 米Microsoft デジタル証明書 Windows XP、Windows 2000 SP4 クライアント証明書のインストール、信頼する認証局の設定 サーバ証明書のインストール
PEAP 米Microsoft ID/パスワード Windows XP SP1、Windows 2000 SP4 信頼する認証局の設定 サーバ証明書のインストール
EAP-TTLS 米Funk Software(Juniper Networks) ID/パスワード Odyssey Access Client 信頼する認証局の設定 サーバ証明書のインストール
LEAP 米Cisco Systems ID/パスワード Aironet Client Utility CCX対応子機のドライバ なし なし

 これらの方式の選択については、「それぞれの環境の要件に合わせて適切なものを」――と言っていては何も始まらないので、どれを使えばいいのか、言ってしまおう。世界で最もメジャーなOSといえばMicrosoft Windowsだが、このWindows OSが対応するのは「EAP-TLS」と「PEAP」である。したがって、まずこの2方式が候補となる。

 次に考えることは、端末の認証に電子証明書、あるいはID・パスワードのどちらを使うかという点だ。前者ならEAP-TLS、後者ならPEAPということになる(図2)。すでに企業内にプライベートPKIの環境が整備されている場合、すなわちCA(認証局)を設置している社員のPCに電子証明書を発行しているケースであれば、EAP-TLSが使えるだろう。しかし筆者の経験からしても、そのような環境を実現している企業はまだ少ない。無線LAN導入を機に整備することも考えられるが、手間やコストを考えると実際にはPEAPを選択するケースが多いようだ。

図2 図2●Windowsで採用されるEAP-TLSとPEAP

 なお、PEAPを選択すればCAは不要になると思われがちだ。確かにクライアント証明書は不要となるのだが、PEAPにおいても認証サーバが正当な存在であることを証明するサーバ証明書やCA証明書を発行するため、CAは設置しなければならない。また、端末側にもCA証明書をインストールする作業が必要となる。

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