オープンスタンダードは“MS Live”に微笑む?Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ(2/3 ページ)

» 2006年11月17日 08時00分 公開
[三浦優子,ITmedia]

 安藤氏はさらに、「最近では、さまざまなサービスベンダーがガジェットの必要性を重要視し始めています」と強調する。事実、GoogleやYahoo!もガジェットへの展開を進めており、オンラインサービスのターゲティング戦略の1つとして、ガジェット提供がポイントになっていることを感じさせる。

 標準的な技術を使って製作できるガジェットで、少しでも多くの開発者を抱え込むことを狙っているのだろうか? それに対し、安藤氏は次のように答えた。

 「マイクロソフトとしては、当社用のガジェットだけを作ってもらうことは、あくまでも理想です。しかし、現実的に考えてみれば、ほかのサイトから提供されるサービス(APIやRSSなどを利用して)のマッシュアップによって魅力的なものができあがる可能性が高いでしょう」(安藤氏)

 実は、ガジェットのような新しいカテゴリーは、少しでも多くのキーマンに評価してもらうことが重要だと言い、その結果が「マイクロソフトにとって、大きなイニシアチブになる」と語っている。

 さらに、「オンラインサービス専業ベンダーと、プラットフォームベンダーであるマイクロソフトの違いは、キーマンの評価を受けた後に現れてくるものだと考えています。利用者の声を生かし、次の製品(サービス)につなげるパスの構築は地道なものですが、決して容易に作られるものではありません。オンラインサービス専業者は、利用者の生の声を聞き、フィードバックした製品作りの経験値が比較的低いものだと思います。マイクロソフトは、利用者の声を聞き、製品へとフィードバックしてきた長い歴史があります。これが大きな強みになるわけです」(安藤氏)

現在は統合されていないVistaガジェットとLiveガジェット

 もっとも、開発者から見ると、マイクロソフトのガジェットには、疑問となる部分もあるのは事実だ。それは、同じマイクロソフト向けのガジェットでありながら、Windows Vistaのガジェット(サイドバー、スライドショウ)と、Windows Liveスペースのガジェットは、相互運用性が実現されていない点だろう。

 「確かに、Windows VistaとWindows Liveのガジェットが統合されれば、普及が加速するでしょう」(安藤氏)

 現在のところは、同じWindowsと名前がついているものの、同社の中で別々に開発されたプロダクトであることが影響しているという。ただし、同社内でもすでに統合化を重要視しているといい、その準備がすでに始まっているという。さらに、安藤氏の言う「開発手法という点では、それぞれのガジェットを作るための手間が、今後倍になるというわけではありません」という見解も加えられた。

 両者は、CSSファイルと、Javaスクリプトファイルを解釈するエンジンが異なっているのが技術的な理由です。ホスト先も異なり、Windows Vistaガジェット(サイドバー、スライドショウ)はローカルなクライアントサイドに保存されるが、Windows LiveのガジェットはLive.com上に置かれる仕組みを持つ。その実行エンジンもLiveガジェットではIE 7が利用されている。

 それぞれのガジェットを作り、それぞれどのようなことが可能かどうか試してみることが、現段階で可能な最善のアプローチと言えそうだ。

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