ゲイツ氏が語る過去と未来、そしてGoogle(1/2 ページ)

「Google Earthは素晴らしい」「EUとの関係に好感」「ハーバードは『休学中』」――。ビル・ゲイツ氏はTechNetカンファレンスで、チャーリー・ローズ氏とスタンフォード大学の聴衆にこう語った。

» 2006年11月17日 17時12分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 慈善家としてのビル・ゲイツ氏は最近、ややペースを落として物事に取り組めるようになっている。大規模多国籍企業の経営で日々わずらわさることがなくなったからだ。考えるのはもっぱら、Bill and Melinda Gates Foundationを通じて自分の(そして同じく大富豪のウォーレン・バフェット氏の)お金を人類のためにどう使うかだ。

 誤解してはいけない。ゲイツ氏は今でもMicrosoftの会長であり、経過報告書に目を通し、会社の戦略会議に出席し、基調講演に登場し、必要があれば大口顧客との契約に口をはさむ。

 しかし、TechNetのようなイベントに割く時間も増えた。今回のカンファレンスはスタンフォード大学の由緒あるメモリアルホールで11月15日に開かれた。

 ゲイツ氏は、PBS放送のトークショー司会者、チャーリー・ローズ氏にインタビューされる形で、スタンフォードの学生や報道陣など約1000人の聴衆を前に、1時間にわたりさまざまなテーマについて語った。聴衆の中にはカリフォルニア州のアーノルド・シュワルツェネッガー知事もいた。

 TechNetは「革新経済の成長を促すCEOの超党派政治ネットワーク」を自称する組織。

 200人が加盟するこの組織は、3年目となるTechNetイノベーションサミットをスタンフォード大学で開き、グローバル経済の中で米国の競争力を維持するために必要なイノベーションと政策の現状について話し合った。

 ゲイツ氏がローズ氏の質問に答えて語った内容の一部を以下にご紹介する。

1970年代のパーソナルコンピュータに匹敵するほどパワフルな概念が、現在存在するかどうか

 「もし私がコンピュータと同じくらい医薬品のことを知っていたら、(人間の)免疫システムをコントロールして、世界的規模で疾病の発生と闘いたいと思うだろう。しかしそれをやったとしても、まだPCのアイデアの方が大きいと思う」

MicrosoftとGoogleの競争激化について

 「Googleはほとんど当社のような会社だと聞いている。それは本当かもしれない。われわれは多くの分野で重複する。両社ともソフト会社であり、さまざまなレベルで競合している。Googleは優秀な人材をたくさん雇い、当社も優秀な人材をたくさん雇っている。Google Earthは素晴らしい。Googleがやっていることは無料であり、すべての人に多大な恩恵をもたらす。自社サイトへの大量のトラフィックを使ってそれをどう利益に結びつけるかを、Googleは非常によく分かっている」

 「われわれは検索で競合しようとしている。当社のLive.comの方が多くの点で優れているとわれわれは考える。この両社の間の競争は、業界全体にとって好ましい」

時に紛糾するMicrosoftと欧州連合との関係について

 「当社のEUとの関係については非常に好感を持っている」。聴衆からは大きな笑いが起きた。

 「いや、本当に」とゲイツ氏。「EUが心配していたのは、主にセキュリティとOpenDocumentのフォーマットについてだ。これは大きな問題だった。われわれは違いを克服した。もし何らかの理由で一部コンポーネントを省くようEUに求められれば、Vistaの欧州版を提供することも可能だった。しかしその必要はないと分かった」

今後10年で社会がITによってどう変わるか

 「変化のペースはかつてないほど速まっている。学校やインターネットラーニングで、何冊もの教科書の代わりにタブレットPCを使う学生がどんどん増える。人間のように見たり学んだりできるコンピュータが登場するだろう。ソフト開発では今後も、音声認識、ゲーム(および)ビデオといった分野で大きなブレークスルーがあるだろう。PCが初めて登場した時のように、新しい重要なITの進歩に浴するだろう」

 「ゲーム分野では、テレビ、HDビデオ(および)PCがXboxで一体となっている。音声認識は改良されるだろう。インタフェースが向上したソフトとサービスがまもなく登場する。当社新製品のZune(メディアプレーヤー)はWi-Fi内蔵で、友達に音楽や写真やメッセージを送ることができる。現在あるものの上にこの種のイノベーションが加えられていくだろう。あらゆる場所で接続が強化されたエンターテインメントの方向に動きつつある」

 「われわれはイノベーションの次の波に乗っている。ただ、米国が世界のほかの国との関係において確実に現状を維持できるようにしなければならない」

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