内閣官房はAIロボットを軸とするフィジカルAI分野の官民投資ロードマップ素案を示した。2040年に世界シェア3割超と20兆円市場獲得を目指す。
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内閣官房は2026年3月10日、日本成長戦略会議においてAIロボットなどを中心とする「フィジカルAI」分野の官民投資ロードマップ素案を示した。世界市場が急拡大するAIロボットで2040年に世界シェア3割超を確保し、約20兆円規模の市場獲得を目指す。米国と中国に並ぶ産業拠点の確立を視野に入れ、半導体やデータ基盤、通信インフラなど関連技術を含めた総合投資を推進する。
フィジカルAIは画像や音声、各種センサーの情報を統合し、現実空間で機械が判断や作業を行う技術領域。AIロボットや自動運転車、ドローン、工場設備など幅広い機械への搭載が見込まれる。世界ではAI技術の進展を背景に開発競争が急速に活発化している。
政府は特にAIロボットを重点分野と位置付けた。市場は2030年前後から拡大が見込まれ、2040年には約60兆円規模に成長すると推計されている。日本は産業用ロボットでは世界シェア約7割を持つが、サービス分野は1割強にとどまる。素案では既存の製造技術や部品供給力を生かし、新たなAIロボティクス産業を形成する戦略を掲げた。
戦略の柱は供給力の強化と需要創出の一体的な推進にある。供給面ではロボットの研究開発や量産設備への投資を促し、モーターや減速機、センサー、蓄電池など重要部品の製造能力を強化する。ロボットの知能部分となる基盤モデル開発も重点項目に位置付ける。
需要面では工場や物流、小売、介護、防災などの現場で導入を広げる。公共調達を活用した先行需要を確保するとともに、実証環境を整備することで、実機データの蓄積と性能向上を狙う。導入目標を産業分野ごとに設定し、制度や運用面の課題解消も進める。
AIロボットの高度化には半導体の供給基盤も欠かせない。政府はAI時代に対応した半導体戦略も示し、国内生産の売上高を2030年に15兆円、2040年に40兆円へ拡大する目標を掲げた。ロボットや自動車など機能を起点に必要なチップを設計する「システム起点」(System to Silicon)の開発体制を強化する。
AIの発展に伴いデータの重要性も増している。企業内に蓄積されたデータをAIが活用しやすい形に整備し、企業間で安全に共有できるデータ基盤の整備を行う。国内データプラットフォーム市場は2035年に5兆円規模へ拡大する見通しで、産業データを活用したAI開発の促進を狙う。
通信基盤の整備も計画に含まれる。大容量通信を可能にするオール光ネットワーク(APN)の導入を進め、AIサービスを支える情報インフラの高度化を図る。2030年までに光通信機器の世界シェア10%獲得を目標に掲げた。
政府は公共分野のデジタル基盤整備も進める。クラウドの利用拡大やセキュリティ強化を通じ行政システムの効率化を図ると同時に、政府の導入を通じて国内企業の技術力向上と市場創出を促す考えだ。
今回の素案は成長戦略の検討状況を示したもので、今後は投資規模や具体施策を詰めた上で最終的なロードマップを策定する。AI、半導体、通信など複数分野の投資を連動させ、次世代産業の育成につなげる方針を掲げている。
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