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» 2006年11月22日 08時00分 公開

法人ユーザーの利用拡大を模索するウィルコム

ウィルコムは、音声通話に偏重する法人ユーザーの利用形態において、データ通信利用の訴求を本格展開する。

[ITmedia]

 「070番号=PHS、という認識が法人ユーザーに定着した」

営業統括責任者の土橋匡執行役副社長は、11月15日の2006年度下期事業説明の中で、法人市場の拡大を重点分野と位置付ける背景を紹介した。

「法人、医療市場へ積極展開する」と語る、土橋匡執行役副社長 「法人、医療市場へ積極展開する」と語る、土橋匡執行役副社長

 同社の法人向け定額通話プラン「ウィルコム定額プラン」(月額2200円、割引適用時)は、ユーザー企業内で内線電話のように利用する場合は通話料がかからない。外線電話として通話すれば、当然だが取引先の電話機には「070」で始まる番号が表示される。ビジネスの通話利用においては、PHSの存在感を感じるシーンが広がっている。

 現在、同社の法人利用で最も多いのが医療福祉分野。携帯電話の数十分の1という端末が発する電磁波の低さや医療福祉分野向けの割引プラン(月額2000円)もあり、全国で約3000カ所の施設が導入している。2007年3月末には、NTTドコモが「クイックキャスト」(旧ポケベル)サービスを停止するため、この分野での利用が拡大するとみられる。

医療機関ではリーズナブルな音声定額プランが好評を得ている。 医療機関ではリーズナブルな音声定額プランが好評を得ている。

 通話利用で存在感が増しつつあるPHSだが、一方で課題となっているのがデータ通信利用の少なさだ。「金額は明らかにできないが、ARPU(1回線あたりの月間売り上げ額)は、法人契約者よりも個人契約者の方が高い」(喜久川政樹代表取締役社長)といい、個人契約者はインターネット利用などで「データ通信の利用頻度が法人契約者よりも高いため」だとして、法人ユーザーは通話利用に偏重している実態があるという。

 このため同社では法人のデータ通信の利用拡大を狙い、さまざなビジネスモデルを提案している。

 M2M(Machine to Machine)の分野では機器に実装できる小型の通信モジュール「W-SIM」がある分、一例として家庭の電気やガスの検針装置装置にW-SIMを搭載すれば、PHS回線経由で検針したデータ収集するテレメンタリーサービスが可能となる。また、商業施設などではW-SIMを搭載した表示装置を店頭POPとして利用し、インターネット経由でキャンペーンなどの来店客に訴求する情報を効率的に配信することできる。

W-ZERO3を使ったオンライントレーディングなど、ビジネスモデルの訴求も強化していく。 W-ZERO3を使ったオンライントレーディングなど、ビジネスモデルの訴求も強化していく。

 「通信を活用することで人件費などのコストを削減でき、ユーザー企業の収益向上につながる。実際、そのように期待する声は多い」と土橋氏。ビジネスモデルの認知を広げるために、2006年下期は代理店支援を中心に法人営業の体制を強化させる方針である。

 データ通信を含め、法人が移動体通信を利用する上では、情報漏洩を防ぐために強固なセキュリティ環境の実現も求められる。実際にパスワードを入力しなければ端末を一切動かせないように設定している企業も多い。

 セキュリティと直感に近い操作性の両立を実現することは、モバイル機器をビジネスシーンで利用するための課題となる。この点について土橋氏は、「アプリケーションベンダーやシステムベンダーとともに、認証方法を中心に改善を推進していく」という。

 今後の市場見通しについて、「第3世代端末による携帯電話キャリアの本格参入や移動体通信全体の高速サービスが拡大する2007年がターニングポイントになるだろう」(土橋氏)としている。

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