MS、Exchange 2007向けの「Forefront Security」ツールをリリース

Microsoftは12月8日、Exchange Server 2007用の「Forefront Security」ツールの最初のバージョンを発表した。この統合型システム防御パッケージは、企業がマルウェアプログラムやスパムメールを防止するのに役立つが、業界筋では2007年以降マイクロソフトがこうした製品でセキュリティ市場に大きなインパクトを与えると予想している。

» 2006年12月12日 18時25分 公開
[Matt Hines,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは12月8日、新たにリリースした「Exchange Server 2007」ソフトウェア用の「Forefront Security」ツールの最初のバージョンを発表した。この統合型システム防御パッケージは、企業がマルウェアプログラムやスパムメールを防止するのに役立つという。

 長らく待たれてきたMicrosoftの電子メール/コラボレーションプラットフォームであるExchange Serverのアップデート版のリリースと時を同じくして出荷されたForefront Securityパッケージは、企業が重要な情報の防御を強化し、基盤となるITインフラへのアクセスをコントロールするのを支援することを目的とする。

 2005年2月にウイルス対策企業のSybariの買収に伴ってMicrosoftが取得した技術をベースとするForefrontツールは、ウイルス、スパム、ワームからサーバシステムを防御する。この製品の核となるSybariの「Antigen for Exchange」アプリケーションは、主要セキュリティソフトウェアメーカーから提供されている9種類のウイルススキャニングエンジンのセキュリティ関連データを単一のインタフェースに集約する。

 同製品には「Microsoft Antivirus」エンジンも含まれる。同社のマルウェア対策技術が製品に組み込まれるのは、これが初めてである。

 Microsoftによると、ForefrontパッケージはIT攻撃とスパムに対して階層的な防御システムを提供するだけでなく、メッセージングシステムのアップタイムの維持とサーバパフォーマンスの最適化に役立つ総合的なパフォーマンス管理機能を提供するという。管理者は、このソフトウェアを利用してエクスサーバの構成と運用を管理することができる。また、ウイルス対策エンジンのシグネチャの自動更新やサーバ/エンタープライズレベルでのシステムレポート作成機能も備える。

 Microsoftは自社のECM(エンタープライズコンテンツ管理)サーバソフトウェアであるSharePoint用のForefrontツールもリリースした。Exchange Server用のForefrontと同様のセキュリティ機能をSharePoint製品ライン向けに提供する。

 同社では、Forefront Security for Exchange Server 2007を試したいという企業に120日間の無償試用サービスを提供する。

 セキュリティソフトウェア業界の観測筋では、Forefrontなどの技術を次々と自社の製品ラインアップに加えるというMicrosoftの積極的な動きは、2007年以降にこの分野全体に大きなインパクトを与えると予想している。

 アナリストらは、Microsoftのセキュリティ製品の投入ならびに同社のWindows Vista OSに広範なセキュリティ機能を含めることで最初に影響が及ぶのは、コンシューマー市場だと見ている。その結果、ウイルス対策市場の古くからのリーダーであるSymantecやMcAfeeといった企業へのプレッシャーが高まり、小規模な競合企業はさらに厳しい状況にさらされるという。Microsoftの企業向けセキュリティ技術も、同社のライバル企業の製品の需要に影響するだろう、と専門家は指摘する。

 Gartnerのアナリスト、ジョン・ペスカトール氏によると、Microsoftによるセキュリティ市場への進出が直ちに企業向けセキュリティ技術の需要を変化させることはないが、同社の動きは市場力学に長期的な影響を及ぼすという。同氏は今回のMicrosoftのセキュリティ市場進出を、大手ITプラットフォームプロバイダーのCisco Systemsによる約10年前の市場進出になぞらえている。

 「10年近く前にCiscoがファイアウォール市場に初めて進出したとき、これで『ゲームオーバー』だと言われたものだ。同社は結局、この市場で30ないし40%のシェアを確保したが、市場を消滅させはしなかった。Microsoftとウイルス対策市場でも同じことが起きるだろう」とペスカトール氏は話す。

 「Microsoftのこれまでの取り組みの結果、既にSymantecやMcAfeeなどのベンダーは、フィッシングなどの新たな脅威への対処に向けた動きを速めている。価格に対する圧力が高まるのも間違いない。そのほかの業界各社も、必死にがんばらなければ生き残れないだろう」(同氏)

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