「古くなったらどんどん捨てる」企業のメール管理の実態が明らかに

ガートナージャパンが行ったメッセージングツールの利用調査において、企業の管理ポリシーのないままメールの削除が行われている実態が明らかにされた。

» 2006年12月18日 19時11分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 「電子メールは情報共有ツールとして定着したが、うまく管理されていない。メールもビジネス情報として確実に保管する必要がある」。ガートナージャパンのITデマンド・リサーチ担当ディレクターの志賀嘉津士氏は、シマンテックが開催した電子メールの利用状況に関する説明会において、企業が社員のメールボックスを管理できていない状況に警鐘を鳴らした。

 ガートナーは、企業内のビジネスワーカー、特にITリテラシーの高い人たち2000名を対象に10〜11月にかけてWebアンケートを実施、独自の調査を行った(有効回答数570)。

画像 企業のアーカイブシステムの導入率は低く、実際に「導入予定」と答えた企業も全体の1割に満たない

 電子メールは、この15年間にビジネススタイルを大きく変えるほどのコミュニケーションツールとして定着した。cc送信を多用する傾向に見られるように、メールをインフラとした情報共有やワークフローが生まれ、単なるメッセージ手段ではなく、「ビジネスインフォメーションツール」としての機能を担うまでになっている。

画像 ガートナージャパンの志賀嘉津士氏

 業務上のやり取りの記録となり、また見積書、経費伝票などの重要な文書が添付されるケースが急速に増えてきている半面、志賀氏によると、それらをアーカイブしていないユーザーが半数以上いたという。アーカイブツールを利用しない理由をみると、古いメールは気にせずどんどん削除していくという、企業が管理できない範囲において個人が自分の都合で過去の業務メールを処理している実態が浮き彫りとなった。

 さらに企業向けの調査では、何らかのメールのアーカイビングシステムを導入している企業は7%にすぎず、当面導入予定がないところは84%にも上る。こうした状況を踏まえ、志賀氏は「当面電子メールの増加傾向が続くとみているが、長期的には、企業がメールを方針なく利用していくことが管理面の課題となる」と指摘。情報漏えい対策や内部統制強化の下、メールを確実に運用、保存する仕組みが企業に求められるとした。

画像 今後、メール以外のブログやインスタントメッセージといったコンシューマー主導のWeb2.0的サービスがビジネスコミュニケーションにも浸透していくという

 シマンテックのExchange Server対応アーカイブソフト「Symantec Enterprise Vault」では、期限、容量などを基準にアーカイビングポリシーを設定して、メールの重要度に応じて階層的にストレージへデータを移動、保護する環境を構築する。情報の分類という視点でメールのライフサイクルを管理しようというものだ。「法制のような強制力に依存するのではなく、利用状況に合わせてプロアクティブにメールをアーカイブすることが、企業にとって重要だと考える」(シマンテックの堀江徹プロダクトマーケティングマネジャー)。

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