ITの適用領域が今までになく拡大する中、システムとしてデザインしたり、導入できる人材も限られてきている。日本企業はどうすればいいのか。日本オラクルの新宅正明社長に話を聞いた。
昨年は「情報セキュリティ」や「内部統制」をはじめ、企業のシステム担当者を悩ませる課題は尽きなかった。ITの適用領域が今までになく拡大する中、システムとしてデザインしたり、導入できる人材も限られてきている。日本企業が、コスト削減一辺倒ではなく、次の成長戦略を描くにはどうすればいいのか。日本オラクルの新宅正明社長に話を聞いた。
ITmedia 2007年5月期上半期(2006年6月〜11月)の業績が先ごろ発表されましたが、特筆すべきはアプリケーションの売り上げが2.6倍に成長したことですね。
新宅 アプリケーションについては、買収に伴って製品ラインアップと顧客のカバレージを拡充し、事業を継続的に成長させていける体制も整えることができました。金額が伸びたというよりも、むしろそこが昨年の成果といえるでしょう。もちろん、アプリケーション以外も、すべての事業において、縮小均衡の議論は終わり、それぞれ成長戦略を語れるようになりました。
ITmedia 主力のデータベースはどうでしたか?
新宅 上半期は、若干のプラス程度にとどまりました。金額が大きいので、アプリケーションのような高い成長は難しいのですが、春には新しいOracle Database 11gも登場しますし、エンタープライズソフトウェアのサポートという点では、パートナーと一緒になって、他社にはない高い価値を提供しています。あくまでも通年で8%の成長を目標としています。
ITmedia Windowsプラットフォームが主流となっているミッドレンジ以下の分野ではどうですか。
新宅 エントリーレベルにおいても、われわれは成長著しいFusion Middlewareとの組み合わせによって高い価値を提案できます。これはマイクロソフトにはない価値です。サポート体制だけではなく、Fusion Middlewareを含めた、統合されたミドルウェアスタックの価値をISVらに対して訴えていきます。
ITmedia 2006年ほど、パートナーとのアライアンスが活発化した年はなかったと思います。
新宅 われわれが力を注いでいる分野が、パートナーらのビジネスにとって極めて重要だということの表れでしょう。製品の幅も広がり、日本市場への投入も計画どおり順調に行われています。パートナーらが2007年以降の事業戦略を考えたとき、自ずとオラクルが組み入れられたのだと思います。オラクルのブランド価値を高めるためにアライアンスを発表しているわけではありません。
われわれの製品領域がデータベースに閉じていたら、ここまで幅広いアライアンスはなかったでしょう。縮小均衡で四苦八苦していたら、パートナーも手を組もうという気持ちにはならなかったでしょう。オラクルを取り巻く環境の好転がなせる技です。
春にはOracle 11gを投入し、例えば、「Oracle GRID Center」のような多くのベンダーとのアライアンスをさらに拡大していきたいと思います。
ITmedia 2006年のIT業界では、「内部統制」が大いに語られました。企業はこの課題にどのように取り組めばいいのでしょうか。
新宅 内部統制は、「西暦2000年問題」や「2007年問題」とは違い、経営の問題です。経営層がコントロールできないところにあった過去の2つの例とは違い、経営の判断で決めることができます。経営が決めれば、情報システム部門やサービスプロバイダーは、最大限のサービス提供に向けて取り組むことができます。
先ず大切なことは、経営がどれだけの投資とリスクを負えるかを決めることです。そしてその判断に基づき、3年がかりで整備していけばいいわけです。
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