Google Miniが機能強化で狙うもの

企業向けの小型検索アプライアンス「Google Mini」の機能強化では、検索領域の拡大とセキュリティという2つの側面がポイントとなった。

» 2007年02月05日 13時13分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 グーグルは米国時間の1月30日、企業向け検索アプライアンス「Google Mini」の機能強化を発表した(関連記事)

 Google Miniは、中堅/中小企業や大企業の部門単位での利用を想定した検索アプライアンス製品だ。大企業向けの「Google検索アプライアンス」同様、Microsoft OfficeやPDFなど220種類以上のファイル形式をサポートしており、企業内に存在するファイルサーバやWebサーバ中のデータをインデックス化し、検索できるようにする。ただし、検索可能な文書数は5万〜30万に限られている。

 これらエンタープライズ向け製品の目的は「社内に存在している価値ある情報を共有し、効率的に使えるようにすることで、さらなる価値の向上を図ることだ」と、グーグルのエンタープライズセールスマネジャー、大須賀利一氏は述べた。今回のGoogle Miniの機能強化もその狙いに沿ったものだという。

 今回Google Miniでは、大きく2つの機能が強化された。1つは、検索可能な範囲(リーチ)の拡大。もう1つは、アクセスコントロールを通じたセキュリティの強化だ。

「適切なユーザーが社内のすべての情報にアクセスし、活用できるようにすることがミッション」と述べた大須賀氏

 検索対象の拡大では、OneBox機能の追加により、ファイルサーバだけでなくデータベースやWebアプリケーション、CRMなどの業務アプリケーションと連動できるようになった。この結果、同一のインタフェースから、イントラネット内の情報だけでなく業務アプリケーションに含まれるビジネス情報に対しても、シームレスに検索を行うことができる。

 OneBox機能は、Google検索アプライアンスでは2006年4月の時点で実装済みだった。だが、「事業規模にかかわらず、全文検索だけでなく、アプリケーション内のちょっとしたデータも同じインタフェースから参照したいという要望があったことから、Google Miniにも実装することにした」(大須賀氏)

 OneBox機能を利用するには、既存のアプリケーションにモジュールを追加する必要があり、Googleでは、OracleやCognos、Salesforce.comといったベンダー十数社と提携し、モジュールを提供している(関連記事)。国内独自のアプリケーションへの対応は今年の課題といい、開発パートナー開拓やローカライズ、トレーニングといった取り組みを順次進めていく方針だ。

 もう1つのポイントであるセキュリティ強化では、ユーザーと文書を紐付けることにより、アクセス制御を実現した。「同じ文書でも、それを見てもいい人、だめな人がある。Webにしても登録している人とそうでない人とでは、見せるべき情報に違いがある。こうした部分の制御を可能にした」(大須賀氏)。検索エンジンの性能が高まりすぎて、情報すべてをさらけ出すような状態を防ぐという。

 従来でも、既存のシングルサインオン/アクセス制御ツールを組み合わせることで、検索結果へのアクセスをコントロールし、文書の実体を見せないようにすることは可能だった。しかし今回の機能強化では、「同じキーワードで検索しても、人によって結果が異なる」と大須賀氏。ユーザーに応じて、はじめから検索結果に情報が出てこないようにすることが可能という。

 ただしこの機能でも、Google Mini内に独自のリポジトリを作成するのではない。Active DirectoryやLDAPといった既存のID制御の仕組みと連携し、参照することによって実現するという。

 さらに最近では、内部統制強化の観点から、企業に存在するさまざまなドキュメントの管理が課題とされている。

 コンテンツ管理システム(CMS)を導入し、逐次コメントやタグを付けてアップロードし、管理していくというアプローチもあるが、この方法に対し大須賀氏は「コンプライアンスにとらわれればとらわれるほど、現場はやりにくくなるのではないか。CMSでアップロード作業をユーザーに行わせるのには無理があるのではないか」と疑問を呈した。

 もちろん、契約書に代表されるような重要性の高い文書、特別に承認が必要なプロセスについては、CMSなどを活用してきちんと管理すべきであると大須賀氏は述べる。だがだからといって、企業内のあらゆる情報にそうした管理手法を適用するのは困難なのも事実と同氏は指摘。代わりに、自動的に情報を見つけ出してインデックス化し、キーワードに沿ったものを出力してくれる「検索基盤」の構築というアプローチもあり得るのではないかと述べている。

image Google miniの管理画面

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