LinspireがUbuntuベースに(2/2 ページ)

» 2007年02月14日 15時23分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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Debianへの影響?

 LinspireがUbuntuベースへ移行したことで、Debianが何らかのマイナス影響を受けるということはあるのだろうか? 例えば Ubuntuがさらなる一般ユーザー層を獲得することになり、(少なくとも理論的には)開発の労力がDebianではなくUbuntuにより多く費やされることにならないだろうか。わたしはDebian Project Leaderのアンソニー・タウンズ氏に今回の発表についてのコメントを求めたが、本記事の執筆時までに回答を得ることができなかった。

 一方、このことについてのウッドフォード氏のコメントはUbuntuがDebianに暗い影を落とすことを思わせるものだ。「マーク(シャトルワース氏)は、コミュニティーをつついてより実用主義的な方向へ持っていくことを見事にやってのけたと僕は思うよ。Debianコミュニティーのますます多くの部分が今やUbuntuコミュニティーになってきている。最近参加し始めた新しい人たちは、(Debian関連のコミュニティーであっても)オープンソースソフトウェアについて多様な考えを持つことを許されているんだよね。筋金入りの純粋主義者たちはDebianに固執するんだろうけど、5年もたったらそのような人の数は1970年代のMIT大に残ったハッカーの数ほどにしかいなくなるかもしれないよ」。

 一方カーモニー氏はUbuntuが好まれる傾向がDebianにマイナス影響を与えるかどうかについては「何とも言えない」と話す。「Ubuntuのための開発作業でさえ、多くの開発作業の場合、まずはDebianのための開発作業から始めることが多いのです。……つまり開発者たちが特に重点を置く場所がどこであるかというだけの話であり、単に今現在は優れた開発作業の多くがUbuntuに対して行なわれているというだけのことではないでしょうか。そしてそれはオープンソースにとってもLinuxにとっても好ましいことなのです。…重点がどこに置かれていようと、活発に活動しているというのは好ましいことですから」。

 そしてシャトルワース氏は「これまでにもDebianとその派生プロジェクトとの間には常に、わずかながらもピリピリしたムード」があったという。とはいえシャトルワース氏によるとCanonicalの場合には「Debianとの協働作業のために非常に多くの時間と労力を投資しています。でもほかの多くの派生プロジェクトの場合にはそうするだけの時間も労力もただただ不足していてそうもいかないでしょう」とのことだ。

 またシャトルワース氏は「DebianとUbuntuとの間のやり取りにも、もちろん摩擦はつき物です。それでもやり取りが実際に行なわれているということに間違いはなく、わたしたちは常にその関係を保ち続け向上させることに取り組みんでいます。わたしが願っていることは、わたしたちのそのような取り組みがUbuntuから派生したほかのプロジェクトのためにもプラスとなるということです。というのもUbuntuから派生したほかのプロジェクトがわたしたちと協力して行う作業には、それが一般的な利益につながるものであるのならば、Debianに取り入れられる見込みもそこそこあるからです」とした。

UbuntuにおけるCNR

 LinspireがCNRをLinspire以外のディストリビューションにも開放したのは先月のことだが、CNRのサポートを発表したディストリビューションはUbuntuが最初だ。ジョージ氏によるとCNRのコンポーネントはUbuntuの標準のパッケージ管理ユーティリティに取って代わるわけではなく、単にUbuntuの付加的なコンポーネントの一つになる予定とのことだ。

 シャトルワース氏によるとUbuntuコミュニティーのCNRに対する要するに以前からあったという。「わたしたちがUbuntu Forumsでの議論を見たところ、多くの人たちがCNRサービスを欲しがっているのは明らかでした。ですからわたしはLinspireが今やUbuntuユーザーにもCNRを利用可能にしているということがうれしく、わくわくしています」。

 カーモニー氏によるとユーザーには2つのオプションが用意されるとのことだ。一つはUbuntuが提供する、カスタマイズされたCNRソフトウェアを利用するというものだ。そしてもう一つは「純粋なCNR体験」を提供する「プラグイン」をLinspireからダウンロードするというものだ。ただしカスタマイズ版の方はFeisty Fawnのリリースまでに利用可能になる可能性が低いため、ユーザーはLinspireからの「純粋なCNR」版から使い始めなければならないようだ。

 カーモニー氏によるとLinspireはLinspireとFreespireをUbuntuベースで構築することに関連してサポート料や技術料などをCanonicalに対して支払うことはしていないとのことだ。しかしUbuntuユーザーがCNR Warehouse経由でソフトウェアを購入した場合には収益を分け合う予定だという。「ユーザーはCNRを使ってDVDプレーヤやCrossOver Officeなど々を購入することができます。……LinspireとCanonicalとで(売り上げの)マージンをベンダーと分け合うことになります」。

 シャトルワース氏によると契約内容は機密事項とのことだ。「わたしたちとビジネス上の関係を結んでいるディストリビューションもありますし、そうでないディストリビューションもあります。実際わたしたちはビジネス上の関係を結んでいないパートナーとの協力にもオープンでいるよう努力していますし、当然のことながらCanonicalは今となってはUbuntuコミュニティー全体のほんの一部分でしかありません。しかしそれでもやはり、Ubuntuから派生したディストリビューションの中には、正規のビジネス上の契約を交した上でわたしたちの持つノウハウやテクノロジーを活用したいという人たちもいるのです」。

 DebianからUbuntuへの移行がLinspireにとって今後どうプラスに働くのかを観察するのは興味深いことになりそうだ。ウッドフォード氏はLinspireの今回の決断について「Linspireにとっては、うまく行くことを信じて清水の舞台から飛び降りた」ということだろうと表現した。

 「Linspireは、自分たちのビジネスの古い考え方を捨て去り、オープンソースの時代の流れに従わなければならないだろうね。Debianベースのときには、LinspireはDebianと非互換になっても何から何まで自分たちでパッケージし直していた。でもマーク(シャトルワース氏)はそれをやめるように言っているんじゃないかな。またLinspireはCNRのコードを公開しようとしている。ということは潜在的には誰でもが、そのコードを使ってLinspireと競合するサービスを提供することができるということだ。実際にそれを実行に移すには度胸が要ると思うけど。あるいはひょっとすると自暴自棄なのかもしれない。それがどちらなのかを言う立場に僕はいないけどね」。

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