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» 2007年02月20日 08時00分 公開

社内システム総責任者A部長のツルの一声女性システム管理者の憂鬱(1/4 ページ)

全社に影響のある大規模システムの運用チームというのは、サーバの再起動1つとっても事前に関係部署の担当者やマネジャーの承認が必要だ。そんな厳格な管理体制が敷かれている職場でも、急を要する重大事態発生時には、ルールを無視した超法規的な措置が取られることもある。

[高橋美樹,ITmedia]

 拠点のシステム管理者として1人で200名前後のユーザーを管理すること3年、次に配属になった部署では、数十人規模のチーム体制で数万人のユーザーを管理することになった。それまでは、自分の拠点ユーザーだけという限定された影響範囲のシステム管理だったため、ファイルサーバの再起動を行うにしても、数日前に電子メールで周知をするか、緊急の場合は各部署間を駆けずり回って「再起動しまーす」と人間スピーカーのごとく大声で知らせれば事足りていた。作業が終われば「完了しました、ご協力ありがとうございました」のメールを流せば万事終了だった。

全社システムの管理に敷かれる厳しい管理体制

 ところが、その後異動になった本社の運用チームでは、事はそう簡単には済まされない。AD(Active Directory)サーバやウイルス定義ファイル配信システム、ネットワークと、システムごとに設計チーム、運用チームが存在する。1つのサーバの再起動であっても、必ず事前に作業手順やスケジュールを作成し、運用チームのマネジャーだけではなく、情報システム部の担当者やそのマネジャーまで10人近い承認を取り付ける必要があった。

 作業担当者は、あらかじめ必要な承認をもらう期間も考慮して申請書を作成しなければならない。さらに、申請書に添付したスケジュールの時間通りに作業が終わらなかった場合には、トラブルとして報告書の提出も求められるなど、厳しい管理体制が確立されていた。

 もちろん、そんな管理体制がとられることには理由があった。そもそもこの運用チームは、親会社から社内システムの運用を委託されている子会社という立場のため、1つ1つの作業にはすべてビジネスとしての重みがあり、その都度、高いクオリティが要求されていたのだ。大きなトラブルなどを起こしてしまっては、次の契約に差し障る。ひいてはグループ内企業のシステム業務を一手に引き受ける立場として、今後の会社業績にも大きく影響しかねないのであった。

運用の法律、運用マニュアル

 作業の水準を一定に保つため、まずは何をするにしても運用マニュアルに従うことが求められた。何かイベントが持ち上がるたびに、設計チームが作成した運用マニュアルを調べ、該当の個所の記述に沿って作業を行わなければならない。各自の力量と長年の勘が頼りだった拠点のシステム管理とは異なり、マニュアルから逸脱してはならないというルールが最も順守されるべきものであった。

 わたしが担当することになったADサーバと定義ファイル配信システムは、それまではなんと1人の担当者が切り盛りしていた。さすがに、1人ではオーバーワークだということになり、わたしがサブとして担当することになったのだが、時既に遅く。1人でこの業務をかろうじてまわしてきたリーダーは、チーム結成から1カ月もしないうちに、風邪をこじらせて入院してしまった。

 入院先から送られてきたメールには、当分出社できないことのお詫びと「あとはマニュアルに沿ってなんとか乗り切ってくれ」という励ましが書かれていた。周囲にはマネジャーもいるし、マニュアルもある、配属からこれまでもそれほど大きなトラブルも起こっていないし、しばらくはなんとか乗り切れそうだ。そんな軽い気持ちでわたしも「仕事のことは気にせず、ゆっくり休んでください」などと返信した。

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