社内システム総責任者A部長のツルの一声女性システム管理者の憂鬱(3/4 ページ)

» 2007年02月20日 08時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

わたし:「メーカーのサイトによると、定義ファイルは対応済みで、現在社内にも配信中です。ただ・・・・・・」

A部長:「ただ、何?」

 無駄な言葉など1つもない部長の鋭いつっこみに、恐怖すら感じてしまう。

わたし:「今、見たところ、配信サーバのうち2台が定義ファイルの更新に失敗しています。この2台は再起動が必要かもしれません」

A部長:「なんでそんなことになるの? それは故障じゃないの? 」

わたし:「これは不具合として報告されていて、今の定例会議でも議題にとりあげられています」

A部長:「どれくらい前から不具合として認識があるの? いつ解消されるの? サーバの再起動が必要ならなぜやらないの? 」

 矢継ぎ早の質問にどれから答えてよいものか。このシステムを担当してようやく1カ月。素人同然のわたしに、責任者を納得させられるような回答ができるはずもなかった。

たじろぐしかないわたし

わたし:「いつ解消されるかはちょっと・・・・・・。ちょうど会議で話し合っているところで。サーバの再起動に関しては作業申請が必要な上、必ず現地に立会人を置くことが義務付けられていますし」

 そのフロアには全部で100名くらいいただろうか。周辺にいる運用チームの誰もがわたしのほうに背中を向けていたが、全身全霊で事の成り行きを見守っているのが感じられた。これだけ人がいるのに、誰もキーボードをたたく者もいない。少し離れた場所の社内ヘルプデスクのメンバーだけが、ひっきりなしに鳴り響く電話の対応に追われていた。

A部長:「申請書はいいから。サーバを早く再起動してよ」

 業務知識も経験もないわたしが唯一順守していたのが、運用ルールである。それを無視せよ、とシステムの総責任者が指示を出している。しかし、わたしの所属はこの部長の会社とは異なる子会社だ。

 うちのマネジャーの立場は? だいたい何でわたしが総責任者から直接指示を受けているのだろう? 

 頭の中をいろいろな疑問がグルグルと駆け巡っていた。もうこうなったら腹を括るしかない。

わたし:「分かりました。準備して早急に対応します」

 そうわたしが答えると、A部長はもう違うところに目を移し次の指示を大声で出しながら、その場を後にした。

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