金融業界向けSOA対応を整えたMicrosoft

SOAに対し、米Microsoftは自信を見せている。.NET Framework 3.0はその期待に応えられるのだろうか。

» 2007年02月20日 07時00分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 「Microsoftは、最新の開発技術とインフラ技術によってウォール街向けのSOA(サービス指向アーキテクチャ)分野に対応する準備を整えた」――金融サービス企業向けのITシステム構築を専門とするコンサルタントはこのように話す。

 ニューヨークに本社を置くEikos Partnersのパートナーであるマイケル・デサンティ氏は、ニューヨークで開催された「Web Services/SOA on Wall Street」カンファレンスで講演を行い、「Microsoftの.NET Framework 3.0は、拡張可能なSOAを構築しようとしている金融サービス企業のニーズに応えるものだ」と述べた。

 デサンティ氏によると、.NET Framework 3.0とそのコンポーネントであるWCF(Windows Communication Foundation)、WPF(Windows Presentation Foundation)、Windows WF(Workflow Foundation)およびCardSpaceにより、Microsoftは現実のSOAニーズに対応することができるという。

 「MicrosoftはSOAに対応できるのか? その答えはイエスだ。MicrosoftはSOA分野向けの強力な製品群を持っている」とデサンティ氏は語る。

 「Microsoftは、OSからMicrosoft Office 2007、そして同社のエンタープライズアプリケーション開発環境の各種要素に至るすべての企業向け製品にSOA技術を統合してきた」(同氏)

 一部の金融サービス企業では、構造化された製品環境におけるリスクを減らすためにMicrosoft ExcelやSharePoint、Webサービスなどを利用しているという。また、クレジット関連処理のモデリング、企業向けの大型ローンのモデリングと管理、ヘッジファンド処理の管理などにワークフロー技術を利用している金融サービス企業もある、と同氏は語る。

 さらにデサンティ氏は、MicrosoftはSOAの基盤技術を提供するのに有利な立場にあると考えている。「同社は当初から、DCOM(Distributed Component Object Model)およびCORBA(Common Object Request Broker Architecture)のサポートを通じてこの分野に参加しているからだ」と同氏。

 Microsoftは、XML/XML SchemaとSOAP(Simple Object Access Protocol)の開発や、WS-*(Webサービススタック)とWSDL(Web Services Description Language)の拡張にも貢献した。

 デサンティ氏はMicrosoftについて、「彼らは数多くの新分野を開拓している。その理由としては、同社がこれらの技術の多くを社内で利用していることが大きい」と指摘する。

 デサンティ氏によると、MicrosoftのWCFは、開発者のすべてのWebサービス連携ニーズに対応する「単一のフレームワーク」を提供するという。

 「WCFは、セキュリティ、リライアブルメッセージング、トランザクション、メタデータ、XMLのすべてを共通のプログラミングフレームワークの下でサポートする」と同氏は話す。

 デサンティ氏はWPFについて、素晴らしいユーザーエクスペリエンスを実現するユーザーインタフェースやメディア、ドキュメントを作成するための効率的かつ統一的なアプローチを提供するフレームワークであると説明する。

 「このフレームワークで次世代のユーザーインタフェースを作成する手段として、WPFは多くの人々に支持されている。これを利用すれば、インタラクティブなユーザーインタフェースを実現し、開発者とデザイナーの共同作業の生産性を高めることができる」(同氏)

 デサンティ氏によると、Windows Workflow Foundationは、Windows上でワークフローに対応したアプリケーションを素早く開発するためのプログラミングモデルエンジンだという。

 「アプリケーションのビジネスロジックの作成にWindows Workflowを利用することができる」と同氏は話す。

 開発者は.NET FrameworkなどのMicrosoft技術を利用するだけでなく、SOA開発をサポートするそのほかの技術の利用も検討すべきだとデサンティ氏は語る。

 こういった技術としては、AOP(アスペクト指向プログラミング)をサポートするためのAspect#(「アスペクトシャープ」と発音する。.NET Frameworkに対応したAOPフレームワーク)とSpring.Netのほか、ユニットテスト用のNUnit、継続的連携サーバ用のCruiseControl.Net、コードカバレッジ用のRhino Mocks、コード解析用のNDependなどがある。

 デサンティ氏によると、Microsoftの技術は金融サービス企業を取り巻く販売サイドと購入サイドの両方の問題の解決に役立つという。こういった問題の1つとして、コストと開発成果のプレッシャーのために、企業は「単一のベンダーのSOAソリューションで標準化せざるを得ない」という状況がある。「企業ユーザーは、すぐに使える製品を1社のベンダーが提供できることを望んでいる。そして多くの場合、Microsoftが提供しているようなプラットフォームが魅力的だ」(同氏)

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ