内部統制への対応で注目を集める"使える"エンタープライズコンテンツマネジメントコンプライアンス時代のマストアイテム!エンタープライズコンテンツ管理(1/2 ページ)

このところ、多くの企業が情報系システムの再構築に対し、積極的に投資を始めたという。そうした情報系システムの中でも、特に高い注目を集めているのが、「エンタープライズ コンテンツ マネジメント(ECM)」分野である。今回は、ECM市場の動向とソリューションについて、マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 IWソリューションマーケティンググループの西岡真樹氏、米野宏明氏に話を伺った。

» 2007年02月27日 08時00分 公開
[ITmedia]

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従業員の生産性向上を目指して

ITmedia 最近、従業員の生産性向上を目指し、「人」への投資が注目されているようですね。

米野氏 従業員の生産性を向上させるシステムは、企業にとって費用対効果の証明が難しく、まとまった金額で投資できるタイミングはあまりありません。これまではインフラが更新されるとか、UNIXがWindowsにリプレイスされたタイミングで「人」に投資するシステムが構築されてきました。

例えば、一時期はナレッジマネジメントやポータルを構築する企業もありました。しかし、これらは、主に部門の予算内で導入したもので、全社で展開することは少数でした。なぜなら、情報システム部門はROIを証明できず、経営者の理解を得ることが難しかったからです。

ところが今、企業には、日本版SOX法などコンプライアンスに対応したシステムの再構築が求められています。これを契機に、多くの企業が従業員の生産性向上を目指した「人」への投資に関心を寄せています。

ITmedia ECM分野への投資も増えているのでしょうか。

米野氏 ECM分野の市場規模も、もちろん拡大傾向にあります。そのキーワードになっているのが「内部統制」です。これは、対応せざるを得ないものですが、ビジネスプロセスを文書化する、社内に散在する情報を安全に管理するという2点が最低限必要な部分になります。

アプローチ方法はいろいろありますが、文書を管理するだけでは意味はなく、"使える"形でいかに管理するか、というソリューションとしてコンテンツ管理という分野があるわけです。このソリューションは技術的に新しいものではありませんが、どちらかというと後手に回っていたIT投資ですから、それがようやく"外圧"によって予算を確保できるようになったというのが今の流れだと思います。

ITmedia 内部統制への対応という"外圧"により、いずれにせよ何らかのコンテンツ管理を行わなければならない時期になっているわけですね。

米野氏 はい。しかし、予算が付きやすいことの裏返しで、コンプライアンス対応をクリアできれば良いという部分に目が行ってしまいがちです。これでは、目的を持ってECMを導入するのではなく、どこまでやれば対応するかという後ろ向きの導入になってしまいます。多くの企業では、具体的な解決策が明確になっていないのが現状です。

マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 IWソリューションマーケティンググループ シニアプロダクトマネージャ 米野 宏明氏

ITmedia 企業の多くが解決策を見出せていないのであれば、ITベンダーはECMに関連するソリューションを企業に提案しやすいのではありませんか?

米野氏 もちろん、そういった側面はありますね。ただし、情報に鍵をかけて片付けるという感覚ではなく、ユーザーの利便性を損なわずに情報の流れを見張っておくという感覚が必要です。法対応のために制限を増やせば、競争力を削ぐことになります。業務プロセスにどれだけのリスクがあり、どこまでが許容範囲なのか、どこまでコントロールできる部分なのかを明確にしないと、適切な情報の流れをデザインできません。ECMが持っている意味合いは、そこまで含まれるものなのです。

ECMは、コンテンツ管理であって、ファイル管理ではありません。ファイルをどこに整理し、どんなアクセス権を設定するかというのは、手段の話です。そのファイルは、どんなコンテンツで、そのコンテンツは誰が使うと便利なのか、その人が使いやすい形で一番安全な方法で管理するという逆の方向で考える必要があります。安全性だけを最重視した場合、かなりの確率で、不便なシステムとなってしまいます。

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