「攻めの思考」の情報管理・マイクロソフトのECMコンプライアンス時代のマストアイテム!エンタープライズコンテンツ管理(1/2 ページ)

エンタープライズコンテンツ管理は、単に情報を保存・管理するためだけのものではない。情報を効率的に管理することにより、再利用や共有を容易にし、新しいものを生み出していくための取り組みである。今回は、エンタープライズコンテンツ管理を実現する、Microsoft Office SharePoint Server 2007の特徴を紹介しよう。

» 2007年02月28日 08時00分 公開
[ITmedia]

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ECMを実現するSharePoint

 Microsoft Office SharePoint Server 2007(SharePoint)は、企業内の情報の効率的な管理を行う、「エンタープライズコンテンツ管理」(ECM)を実現するためのシステムだ。ここでは、その特徴について見てみよう。

 まず挙げられるのが「コンテンツタイプ」だ。これは、その名のとおりコンテンツのタイプ別に、ある種の特性を設定できるものだ。例えば、企画書であれば、「上司の承認を経た上で、プロジェクトメンバーに公開し、メンバーから意見をもらって再度修正し、上司の承認を経て仕上げる」という一連のワークフローが決まっている。ワークフローの各段階で行うべき手順も決まっているし、誰がどのように関わるかも決まっている。

 そこで、SharePointでは、あらかじめそうしたワークフローに準拠した情報をコンテンツタイプの属性として埋め込んでおく。具体的には、コンテンツタイプの属性が埋め込まれたテンプレートを用意し、一連のワークフローが自動的に流れるようにする。これにより、ドキュメントの管理が行えるのと同時に、作業は順調に進めることができ、不注意による間違いも極力起こらないことになる。

 次の特徴は、Officeアプリケーションとの連携である。前述のコンテンツタイプに連動する形で、Officeアプリケーションもドキュメントのタイプに従った作業環境が自動的に用意される。例えば、ドキュメントを参照する権限しかないユーザーであれば、その文書を開いても、編集機能が使えない状態になるという仕様が標準的に提供されている。

 また、作成したドキュメントの保存場所も自動的に決められており、その場所に保存するだけで文書は保護され、管理された状態に置かれる。

 一般的に、新しい仕組みを導入した場合、それを適切に使いこなすための教育機関が必要となる場合が多いが、SharePointの場合には、日頃から使っているOfficeアプリケーションでの作業にプラスして、ほんの少しの手順を覚えるだけで、利用できる。

 そして、もう1つのポイントは、IRM(Information Rights Management)との連動である。IRMが司る機能は、端的に言うならば、Officeアプリケーションで作成された文書に対して「鍵をかける」ということだ。基本的には、Active Directoryによるユーザー認証と権限設定に連動させ、本人でなければ、その鍵を開けることができないという仕組みである。これを、SharePointと連動させると、ドキュメントの管理に加えて、セキュリティ面での保護も与えられる。

 なお、SharePointとIRMとを連動させたからといって、ユーザーは、文書作成作業などにおいて、余計な手間をかける必要はない。すべてが自動的に設定されるようになっているからだ。

SharePointによるECMソリューション

 SharePointが提供するソリューションは、アーキテクチャの図を見ると理解しやすい。

ECMアーキテクチャ

 SharePointでは、基盤サービスとして、ワークフローをはじめ、メタデータやポリシーなど、ドキュメント管理のために必要な要素をすべて統括的に吸収し、ドキュメントを自在に整理することができる。その上で、SharePointは、ECMコンポーネントとして4つの管理領域を持ち、それらは有機的に結びつけている。そうした体制を整えた上で、Officeアプリケーションと連動しながら、ユーザーに対して、使いやすい仕事環境を提供しているのだ。

 では、ユーザーに提供されるECMソリューションの特徴を見てみよう。まずは、ユーザーがいままで通りに文書作成作業を行っているだけで、その延長線上で自動的に情報が管理されることになるという点である。そして、SharePointだけでもある程度の権限設定などは行えるが、それをさらに徹底させるには、Active DirectoryやIRMと連動させることが望ましい。そうすることにより、ドキュメントの管理のみならず、網羅的な管理とセキュリティの設定を施せることになる。さらに、そうした体制が確立されれば、今度は、それを戦略的に利用することも可能になってくる。単に「管理をする」という考え方ではなく、「管理されたドキュメントだからこそ、再利用などが容易に行える」という、「攻めの思考」に取り組めるのだ。

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