「手になじむ」文書管理を実現しよう――効率的+合理的ECMのススメエンタープライズコンテンツ管理(1/2 ページ)

SharePointを中核に据えたシステムでは、ユーザーが慣れ親しんだインターフェイスのまま、すでに習得した手順を少しだけ変更することで、より便利で安全に、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)を実施できる。主にエンドユーザーが受けるメリット部分にフォーカスし、その特徴を見ていこう。

» 2007年03月07日 08時00分 公開
[ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「コンプライアンス時代のマストアイテム!エンタープライズコンテンツ管理」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


大きな流れの中でコンテンツを管理

 Microsoft Office SharePoint Server 2007(SharePoint)の大きな特徴は、企業内の情報コンテンツのライフサイクルを一連のプロセスとして捉え、そのすべての段階において適正な管理が行えるように考えられていることだ。

 コンテンツのライフサイクルとして、作成→承認→共有→保存という4つのフェーズがあるが、これら各フェーズで異なるツールが利用されるというケースは多い。すなわち、一連の流れであるにもかかわらず、アプリケーションレベルから見れば、分断された状態になっているのだ。これでは、運用に手間がかかるばかりか、オペレーション時のミスも招きかねない。

 このような問題はSharePointをサーバシステムの中核に置くことで解決できる。コンテンツ管理をトータルに、使い慣れたインターフェイスで行えるようになるのだ。クライアントユーザーは、特別に意識して操作せずとも、手になじんだツールで一連の作業をこなすだけで、ドキュメントの管理やセキュリティを実現できる。

SharePoint では、作成→承認→共有→保存というドキュメントのライフサイクル全般において、統合的に管理が行える

Officeアプリケーションとの高い親和性

 SharePointは、the 2007 Office Systemの中核製品であり、インフォメーションワーカーが最も慣れ親しんでいるOffice製品との親和性が極めて高い仕様になっている。つまり、従業員は、WordやExcelなど、使い慣れたOfficeアプリケーションだけを利用していれば、作業が行えることになる。いつもどおりの動作の延長で、優れたコンテンツ管理を実施できる。従来製品と違って、追加される手間はほんのわずかだ。

 例えば、一般的な報告書作成の手順を考えてみよう。ユーザーは、SharePointのドキュメントライブラリに用意されている定型の報告書を探し、WordやExcelに読み込み、そこに必要な事項を入力する。そうして報告書を書き上げたら、次はその報告書に対し、上司の承認を得ることになる。

 このとき、Officeアプリケーション上には、ドキュメントのプロパティ情報に関することが明示的に把握できる「ドキュメント情報パネル」「ドキュメントアクションバー」(これらを「ビジネスバー」と呼ぶ)が表示され、承認が必要かどうかの設定を加えられるようになっている。

 報告書は、これだけの手順で完成だ。あとは、所定の場所に保存するだけである。

SharePointは、the 2007 Microsoft Office Systemの中核サーバ製品。当然のことだが、Office 2007の各アプリケーションとの親和性は非常に高い

「コンテンツタイプ」で簡単ワークフロー管理

 SharePointでは、文書のテンプレートに、収録すべき所定の場所に関する情報が設定されている。これは「コンテンツタイプ」と呼ばれる仕様だ。これにより、文書のテンプレート、承認用のワークフローや承認された文書の送信先、送信された文書の格納のポリシーなどをすべて関連付けて管理できる。

 例えば、報告書のテンプレートはある特定のところにまとめて用意されており、承認が必要なら、承認ワークフローが適用されて所定の場所に移される。この際、仮に保存先を間違えても、その保存先は適当でないということがユーザーに知らされるので、ミスを防ぐことができる。

 承認された文書は所定の場所に格納される。格納された場所にはポリシーが設定されており、ある一定期間が経過した文書は、自動的に他の保管場所に移動されたり、消去されたりする。例えば1日1回、夕方5時に全部のファイルをコピーするというようなニーズにも対応する。テンプレートが用意されている特定の文書を作成した場合には、そのあとの作業はほぼ自動化されるので、ユーザーの利便性は格段に向上するわけだ。

コンテンツタイプは、SharePoint が管理する重要項目。これにより、ドキュメントライフサイクルの全行程にまたがった適正な文書管理が行える

 テンプレートには、プロパティ情報に関するフィールドがあり、その内容はサーバ側と連動している。これがそのまま、自動的に運用する重要な管理項目になる。

 このようにSharePointでは、文書テンプレート、プロパティ、承認ワークフロー、セキュリティポリシーなどをひとまとめの属性(コンテンツタイプ)として関連付けている。これは、作成、承認、共有、保管、管理という文書ライフサイクル上の各フェーズをまたがった文書管理を支援し、ECMを実践するために欠かせないものだ。

 もちろん、現場のユーザーは、自分が作成したドキュメントが管理されているかどうかを気にする必要はないので、生産性を落とすことはない。

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