NECは、統合運用管理ソフト「WebSAM」の最新バージョン「Version 7」を発表。複雑化するシステム管理をシンプルにする仕組みを取り入れた。
NECは3月19日、統合運用管理ソフトWebSAMの最新バージョン「WebSAM Version 7」を発表、販売を開始した。最新版では、運用手順などをナレッジとして蓄積、活用することで、システム運用を簡易にする工夫が施されている。
WebSAMは以前のVersion 6において、構成管理データベース「CMDB」を採用して、WebSAM各種製品が容易に機能追加できるよう共通フレームワーク化するといった、アーキテクチャーの大幅な見直しを図った。Version 7は、より単純明快な運用管理を目指す方向性でこのアーキテクチャーを強化した。
第一システムソフトウェア事業部の池田治巳事業部長は、「法規制への対応、NGNの技術革新に見られる環境の変化・複雑化へ迅速に対応するITシステムにしていくには、システムの個別最適化などではなく企業レベルの判断を支援する全体視点での運用管理が必要。最新版では、運用管理の“原点”に立ち戻り、ノウハウの蓄積や自律化によって、システム障害状況の把握からリソースの最適化まで複雑さを排除したシンプルな運用管理を追求した」と製品コンセプトを説明する。
具体的には、まず統合管理コンソールをリニューアルし、人間工学に基づいたGUIを採用。サーバ管理、アプリケーション管理など複数製品の情報を単一画面に統合して視認性を上げ、操作性を統一した。UnicodeやWindows Vistaにも対応する。
また大きな特徴として、統合管理ミドルウェア「MCOperations」ではWebSAMのほかOracleやWebLogic、MCOneなど同社がSIで扱う主要10製品についての運用ノウハウを製品ナレッジとして蓄積しており、障害発生時にどの事象にどのように対処するかのガイドラインを示してくれる。また、個別の環境に対応するため、ユーザーが自身の対処の履歴をGUIで登録し、システムの障害メッセージを起点に対処法を表示させたり、コマンドを併せて登録することで自動実行するといったことが可能だ。
さらに、こうしたノウハウ集を基に、3層システムで性能低下の問題があった場合にそれをどのように検出し、最適化していくかをあらかじめ12のシナリオとして設定している。WebSAM Version 7のCMDB内では機器監視とアプリのリソースプロビジョニングの情報がひも付けされており、監視から分析、実行までのフローをテンプレートとして定義することにより、OS/ハードだけでなく、業務アプリやミドルウェアまでを含めたリソースの最適配分を自動化することができる。
主要な統合管理系システム製品の出荷時期は、MCOperationsとサーバ管理ソフトの「SystemManager」が4月18日、アプリケーション管理ソフトの「ApplicationNavigator」が5月となる。税抜き価格は、それぞれ479万1200円、78万7100円、62万7600円。
加えて、同社は新版のリリースに合わせて製品体系も見直し、主要製品について、従来の100以上の製品を24製品程度に絞り込む。中堅・中小企業(SMB)向けの「WebSAMオフィス」とフレームワークを共通化して、PCサーバ単体から複数サーバによる大規模分散システムまで、エージェント、マネージャ、管理コンソールの3つのコンポーネント層を軸に、ユーザーが拡張に応じてスムーズに製品を追加できるようにした。
NECは今後の事業戦略で「全国拠点のサポートエンジニアを400名から800名に倍増させる計画。特にSMB向けの販売を強化する」(池田氏)としており、2009年までにSMB向けに2万システム、大企業向けに1万システムの計3万システムの出荷を見込んでいる。
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