IT企業における付加価値を持つリーダーシップ能力の育成法マネジャーの教科書(2/2 ページ)

» 2007年03月28日 09時30分 公開
[Ken-Myers、Sonya-Cox,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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革新性とパフォーマンス

 付加価値を持つリーダーシップを発揮する人間のすべてが、画期的な進歩をもたらすスター選手タイプの人間というものではない。むしろこうしたリーダーとしての能力を有す者は、一歩一歩着実な前進を行うごくありきたりな人々の間に多く見いだすことができる。そのような人々は、常に着実な成功の積み重ねを進めていくものであり、先の群盲象を撫ずの例を引き合いに出せば、巨大な象の肉片を一口ずつかじっていくタイプとでも言えばいいだろう。それでは、何が具体的にそれを可能にしているのだろうか?

  • 何事についても、自分の現状に満足せず、組織の構造、業務のプロセス、得られる成果について、その継続的な改善と向上を常に考え続ける。最も、このように小さくても着実な改善を計画的に進める手腕を身につけた人間は、おうおうにして、試行錯誤でしか物事を進められない不器用者と見なされがちなのである
  • 創造力の発揮に必要となる時間や技能やリソースについて、周囲の人々に協力を求める。深い洞察力に基づいた判断、あるいは独創性や創造性に溢れた発想、あるいは困難に挑戦しようとする意欲を持った人間が周囲にいれば、その力を活用するのである
  • 決断力を発揮し、必要な場面において“もしもの可能性”にちゅうちょせず、それを実行に変える。それは、冷静に状況を見極め、必要な人材を確保し、計画の立案を進めておき、そうした準備が終われば、派手な演出をするでもなく、速やかに実行に移すということに他ならない。行動に伴うさまざまなリスクを冷徹に評価した上で、組織の有すリソースの最適な配分を決定し、周囲の人間をその気にさせるのである
  • 自分を含めた周囲の人間に対し、意欲を引き出させるタスク設定を定めさせ、職場の士気を高める。そのためには、意欲を高めるためのモデル兼コーチとして働く必要がある。その結果、社内および社外のカスタマに対してより高い品質のサービスを提供できることが実証されることになる

付加価値を持つリーダーシップ能力の育成法

 IT関連のスーパーバイザーを務めている人間といっても、こうした付加価値を持つリーダーとしての資質のすべてを備えている者はそれほど多くはない。とは言うものの、組織の中に人材を求めれば、そうした資質の幾つかを有している人間をたいていは見つけ出せるものである。

 いずれにせよこうした資質は、組織という器の中でこそ育まれるものである。付加価値を持つリーダーシップとは、いわば組織を利するさまざまな能力の集合体のことであるが、それは学習によって身につけられる能力でもあるのだ。そこで提示するのが、以下の3つの戦略である。

 1つ目は、組織内部に人材を求めること。それほど目立たないがゆえに見落としているだけであって、付加価値を持つリーダーに値する人間を既に身内の中に抱えている、という可能性は非常に高い。必要なのは、そうした資質を持つ者を見いだして、その擁護者となり、彼らの努力を評価して、さらなる成功を達成するために必要なサポートを与えることである。

 2つ目は、新規雇用、昇進、論功行賞を行う際には、それを付加価値を持つリーダーシップを持つ人材を発掘する機会だととらえること。

 3つ目は、社内の訓練プログラムの中に、付加価値を持つリーダーシップの育成モジュールを組み込むこと。付加価値を持つリーダーシップという資質の多くは、適切なトレーニングを組織の方針として施すことで育成できるものである。

 こうしたリーダーシップを育成し、最終的なIT企業としての利益に反映させるには、組織自体が明確な意識を持って、付加価値を持つリーダーシップを生かすことを考えなければならない。

Ken Myersは組織行動論の博士号を所有し、米海軍およびノースウエスト航空にて組織運営のキャリアを積み重ねた後、現在はオンライン大学Touro University Internationalにて経営情報学のCore Professorを務める。Sonya Cox中佐は、米海軍の情報専門家であり、南方統合常備部隊司令部(マイアミ)の情報主任への就任が予定されている。


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