ライブドア、持ち株会社化で経営体制を刷新――Web2.0時代のリーディングカンパニーを目指す(2/2 ページ)

» 2007年04月03日 07時30分 公開
[津田聡一朗,ITmedia]
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 資本金4億円で従業員数が約280人となるライブドアの中核事業は、メディア事業とネットワーク事業。出澤氏によると、収益源は課金と広告で、それぞれの事業で約25億円の売り上げがあるという。メディア事業におけるユニークユーザー数もネットワーク事業における売り上げも、巷の評判とは正反対に、2006年1月の堀江貴文元代表取締役社長の逮捕後も順調に推移しているという。2007年2月のユニークユーザー数は1814万人で過去最高を記録。広告収入は2006年夏に底打ちした後、上昇傾向にあると説明した。「2007年3月には、ピーク時(2005年12月)の約70%を回復。4月以降の予約状況を見ても右肩上がりの回復基調は変わることはないと見ている」と出澤氏。今後もさらなる事業の選択と集中を図り、「9月には新会社として単月黒字化を達成する予定」と自信をみなぎらせた。

 その先に見据えるのは、急速に拡大するCGMの広告市場で「メインプレーヤーになる」(出澤氏)こと。具体的には、両事業のシナジー効果を発揮させた3つのサービス――4月末にも始める新サービスの次世代ブログ「PRAC(プラク)」(仮称)、CGM機能のOEM販売、英語版RSSリーダーの新規提供――で収益化を図る。出澤氏は「3年後には売上高で100億円を狙っていきたい」と意気込む。

経営機能を細分化してビジネス基盤を固める

 旧ライブドアは、多額の現金を保有する半面、訴訟も多く抱えていた。そうした資金管理や訴訟の対応に加え、多数の株主に対するIR活動は、ライブドアHが引き継ぐ。「訴訟の対応や資金の管理が今後、重要な経営課題になると認識している」(ライブドアH上級執行役員経営企画管理部長の落合紀貴氏)ため、旧ライブドアでは経営企画管理部が一手に引き受けていた業務を、経営企画管理部、財務経理部、法務部に分けて独立させた。こうして役割分担することにより、経営の効率化を図り、グループ全体のビジネス基盤を強固にする考えだ。また、旧ライブドアに設置されていた経営委員会は経営会議としてライブドアHに残した。「月に1〜2度、子会社の社長を召集して、情報交換などを行う場にする」と落合氏は補足した。

落合紀貴氏

 会見には、ソニー最高顧問の出井伸之氏やインスパイア代表取締役(CEO)の成毛眞氏、グーグル・ジャパン代表取締役社長の村上憲郎氏らがビデオでコメントを寄せた。出井氏は「ホールディングスと事業会社に分けたのは大変いいことだ」と今回の経営刷新を評価した。技術力を武器に出直そうとする姿勢に対しては、成毛氏が「これからも技術力を身に付けて、ますます発展してほしい」とエールを送った。また、村上氏は「ユーザーのエクスペリエンス向上という共通の目標に向かって、ライブドアの更なる発展に貢献したい」と協力する意向を示した。

※2 ソニーは2006年、慣例となっていた顧問制度を廃止。45名いた顧問は同年3月、退任した。ただ、出井氏のみ日本経済団体連合会副会長の任期が切れる5月まで最高顧問として残っている。出井氏自身は2006年、シンクタンク/経営コンサルティング会社、クオンタムリープを設立し、代表取締役(現職)に就任している。
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