「GoogleがIBMに取って代わることはない」とミルズ上級副社長

IBMのソフトウェア事業を統括するミルズ上級副社長は、既存のIT資産を統合し、価値を引き出そうとしている企業の要件に応えるのが同社の使命であり、「GoogleがYahoo!がIBMに取って代わることはない」とした。

» 2007年04月11日 07時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「今世紀のテーマは統合」── IBMのソフトウェア事業を2000年から統括しているスティーブ・ミルズ上級副社長は、都内のオフィスで行われたプレスラウンドテーブルでこう話した。

足かけ8年もIBMのソフトウェア事業を率いてきたミルズ氏

 メインフレームやミニコン、クライアント/サーバ型システム、そして、Webに至るまで、企業はこの20年から30年をかけて実にさまざまな技術に投資を行ってきており、それらの多くが今も稼働している。足かけ8年も同社のソフトウェア事業を率いてきたミルズ氏は、「顧客企業の要件は1990年代とは全く様変わりした」と話す。顧客らは膨大なインストレーションの上にさらに投資を行うわけで、20年から30年の投資の結果である既存のIT資産を統合し、新たな価値を引き出そうとしている。

 「しかも、企業は、顧客やサプライヤーのシステムも自社のシステムと連携させ、ビジネスプロセスをさらに効率良く実行していかなければならない」(ミルズ氏)

 IBMのソフトウェアグループは、5万人が従事し、約200億ドルの売り上げを誇る世界第2位のソフトウェアベンダーだ。ミルズ氏は、「ポートフォリオではIT業界切っての存在だ。幅広く、そして深い製品とソリューションがある」と胸を張る。

 「企業は、その運営を効率的に行うためにビジネスプロセスの統合や、それと対をなすデータの統合(Information On Demand)、人の能力をフルに引き出すコラボレーションやナレッジマネジメント、そしてITの管理や最適化という課題に直面しており、IBMも彼らのニーズに応えるべく、投資を集中させている」(ミルズ氏)

 ご存じのように、同社は5つの主要な製品ファミリー、つまり、「WebSphere」「DB2」「Lotus」「Tivoli」「Rational」を組み合わせ、企業が求めるソリューションを提供しようとしている。

 ミルズ氏は「個々のブランドを広めるのも大切だが、先ずは顧客のニーズに応えることの方が重要だ」と話す。ここへきて、GoogleやYahoo!といったネット企業が、ソフトウェアをサービスとして提供しようと試みているが、「企業の基本は、トランザクションの実行だ。アセットから価値を生み出し、キャッシュに換えている。ここにおいて重視するのは、信頼性、高可用性、および拡張性であり、さらにセキュアでなければならない。IBMはこの分野において圧倒的なリーダーだ」とミルズ氏は一蹴する。

 「情報活用においても、高度なセキュリティが要求され、ミッションクリティカルな領域がある。われわれは、ビジネスのおける問題解決に軸足を置き、エンタープライズレベルにフォーカスしている。GoogleやYahoo!のようなコンシューマー市場のプレーヤーではない。われわれが彼らに取って代わることができないのと同じように、彼らがわれわれに取って代わることはできない」(ミルズ氏)

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