データセンター事業者も期待を寄せるクアッドコアXeonプロセッサーの魅力とはインテルの新世代サーバプラットフォーム

サーバの高性能化・高機能化は、あらゆる業務を迅速かつ継続的に処理することを可能にしたが、同時にデータセンターの消費電力上昇や発熱など、新たな課題をもたらすことにもなった。そうした課題を解決すべく、製品開発へ取り組んでいるのが、プロセッサーベンダーのインテルである。同社がそれまでの計画を前倒しにして昨年11月に発表した最新のクアッドコア・プロセッサーは、多くのデータセンターが抱える課題を解決すべく、多くの特徴を備えている。今回は、データセンターをはじめとする企業システムの設計・構築に携わるITアーキテクトの一人、インターネット接続サービスやマネージドセキュリティなどのネットワークソリューションを提供しているIIJグループの中でSI事業を展開する、アイアイジェイテクノロジー チーフアーキテクトの大野豊氏に、クアッドコア・プロセッサーがもたらすITシステムの変革とユーザーメリットを聞いた。

» 2007年04月23日 10時00分 公開
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クアッドコア・リソース・センター

クアッドコア インテル® Xeon® プロセッサー5300番台のパフォーマンスとパフォーマンス per costの高さとは


電源容量不足の課題に取り組むインテル

 現在、企業のサーバルームは、深刻な課題に直面している。サーバコンピュータに利用されているプロセッサーの高速化に伴う消費電力の上昇と、排熱の問題だ。この解決を見なければ、サーバルームに設置できるコンピュータの台数が制限され、ITシステムのサービスレベル低下も免れない。こうした事態は、ユーザー企業だけでなく、大型のサーバを稼動させているデータセンター事業者にとっても大きな課題として認識されている。

 アイアイジェイテクノロジーにおいて、顧客企業のシステムインフラをミドルウェアも含めて設計、構築しているチーフアーキテクト、大野豊氏も、こうした事態を憂う一人だ。ちなみに同氏は、2006年までソニーの情報システム子会社、ソニーグローバルソリューションズでITアーキテクトを務めた経験があり、ユーザー企業が求めるニーズを熟知する人物だ。

 「技術の進歩によって、サーバ1台当たりあるいは単位容積当たりの消費電力は確かに下がっています。ところが、増大するビジネスに対応するため、データセンター内の集積度は上がっています。これが結果的に、消費電力と発熱量の増加につながっているのです。古いデータセンターでは、総電力量がボトルネックとなり、ラックの利用効率が下がる事態も発生しています」(大野氏)

 こうした電源容量と発熱という課題を解決すべく、ハードウェアベンダーは自社製品の省電力化に取り組んでいる。とりわけ、積極的な取り組みを見せているのが、プロセッサーベンダーの最大手、インテルである。

 「プロセッサーの技術革新によって低消費電力のサーバコンピュータが登場し、データセンターそのものの活用が広がっていくことは大歓迎」と、大野氏もインテルの取り組みを評価する。

優れたワット性能比を実現するクアッドコアXeon

 かつては、プロセッサーのクロック数を上げることで性能向上を図っていた。ただし、クロック数を上げれば上げるほど、消費電力量は増えていく。データセンターの問題を前にしたインテルは、こうしたアーキテクチャーを見直し、電力効率に優れたパフォーマンスを実現できる「Coreマイクロアーキテクチャー」を現在のXeonプロセッサーに採用した。プロセッサーのコア数を増やすことで性能向上を図る「インテル・マルチコア」との組み合わせによって、革新的なプロセッサーの新時代がスタートすることになる。

 2006年6月、Coreマイクロアーキテクチャーを採用したデュアルコアXeonプロセッサー、「Xeon 5100番台」が発表された。そして、当初の予定を大幅に前倒しし、2006年11月には、x86初のクアッドコア・プロセッサー「Xeon 5300番台」を市場に投入した。

 プロセッサーのコアを4つに増やし、性能を引き上げたXeon 5300番台は、シングルコアXeonプロセッサーはもちろん、デュアルコアに比べても格段に「ワット性能比」が向上している。ワット性能比とは、ワット当たりの性能を示すものであり、マルチコアの省電力性能を表現するために、最近は盛んに用いられている。Xeon 5300番台はデュアルコアの「Xeon 5100番台」に比べ、同じ消費電力では50%の性能向上を実現している。シングルコアXeonと比較すると、ワット性能比は4.5倍にも達する。まさに、データセンターに最適な、電力効率に優れたプロセッサーが、このクアッドコアXeonなのである。

 大野氏も、クアッドコアXeonのワット性能比を高く評価する。

 「クアッドコアXeonの性能は、ベンチマークの結果が示すとおり、明白なものだと受け取っています。今までの数倍の処理が可能になれば、リソースのマネジメントや運用コストの掛け方も、より効率的になるでしょう」

 ところが大野氏は、新しい型番のプロセッサーやコア数の増加といったファクターだけでは、企業のXeonプロセッサー導入は加速しないだろうと考えている。

 「ただ単に、デュアルコア/クアッドコアになったから導入するという企業はありません。企業には、デュアルやクアッドというコア数の意識はなく、重視するのはユーザーメリット、特にソフトウェアライセンス料金やサーバ1台1台に掛かる保守料金、管理コストを含めた、TCOの低減効果なのです」

 「またSIを引き受ける立場のわれわれも、顧客の要求をいかに確実に実現し、さまざまな面からの効率改善が提案できるかも重視しています。最終的には顧客の投資に合ったゲインが見込めるか、これが重要です」(大野氏)

 つまり、クアッドコアXeonプロセッサーには、消費電力という課題を解決するだけでなく、ITシステムに求められるコスト削減という効果も明らかにすべきだというのだ。

運用コストをはじめとするTCO削減に寄与

 では、企業がクアッドコアXeonプロセッサーを選択することで、どのようなコストメリットを享受することができるのだろうか。

 コスト削減という点では、クアッドコアXeonプロセッサーの価格は、2年前に発売されたシングルコアXeonとほぼ同等に据え置かれている。性能が向上し、消費電力が削減できた上に、導入コストが高くなることはないわけだ。また保守や管理面については、運用コストの中でも大きな比率を占める電気料金を低減できる。

 さらにソフトウェアライセンスも、多くのソフトウェアベンダーがライセンス体系を改訂し、プロセッサーソケット数単位でライセンス料金を課す流れにあり、プロセッサーコア数が増えたとしてもソフトウェアへの投資が増えるわけでもない。むしろ、サーバ統合によるソフトウェアライセンス数の削減というメリットも生まれてくるだろう。

 「この点はインテルのクアッドコアがもたらしたブレークスルーと言えます」と大野氏。「クアッドコアXeonプロセッサーを搭載した最新サーバコンピュータでランニングコストが大幅に削減されるのであれば、すぐに導入すべきでしょう。トータルとしてTCO削減が実現できるのであれば、リース期間の途中であっても、既存のシングルコアXeonプロセッサー搭載のサーバコンピュータをリプレースしようと考える企業もあるかもしれません。一時的な投資額の大小ではなく、ITシステムのライフサイクルを正しく捉えた導入の決断が必要になってきます」(大野氏)

仮想化技術への注目度が高い今、まさに買い時

アイアイジェイテクノロジーでチーフアーキテクトを務める大野豊氏。「クアッドコア・プロセッサーによって、運用コストを維持しつつも、エンドユーザーに与える付加価値を高めていく、このようなITシステムが現実となる可能性を帯びてくる」

 さらに大野氏が期待するのが、クアッドコアXeonプロセッサーがもたらす利用率の向上という点である。その意味で注目されるのが、クアッドコアXeonプロセッサーの仮想化機能のサポートだ。

 仮想化は最近、サーバの統合および使用効率の改善といったメリットから導入を検討する企業が急増しており、今年日本においても広く普及することが予測されている。こうした仮想化のソリューションを導入したい、または導入を検討しているといった企業は、ぜひクアッドコア・プロセッサーを搭載したサーバを選択すべきだろう。

 マルチコアプロセッサーはコアごとに仮想マシンを割り当てられるなど、そもそも仮想化との親和性が高い。クアッドコアXeonプロセッサーを搭載した2-wayサーバであれば、8つの仮想マシンを走らせることも可能だ。つまり、8台のサーバを1台に統合することも容易となる。

 実際にインテルのIT部門では、クアッドコア・プロセッサーを活用して8:1のサーバ統合を行い、運用コストの削減やデータセンターの電力・スペースの問題を解決している

 仮想化はまた、「われわれが行う提案にも、顧客に合わせてきめ細かく、多くの選択肢ができるようになると言う点で歓迎できます」(大野氏)というように、より柔軟なITインフラの構築にも有効だ。

 さらに大野氏は自らの実務の中で、「今まで顧客ごとに専用環境を作成して検証しなければならなかったケースも、1つの筐体の中に仮想化の領域を複数作成して同時に検証できるのもメリット」と、その恩恵を期待する。

 「アイアイジェイテクノロジーとしても、高い水準のサービスを競争力あるコストと付加価値によって企業顧客に提供できれば、競争優位を確保できます。検証のプラットフォームとして、またオンデマンドコンピューティングの実現には、何らかの仮想化技術が非常に有効だと考えています」(大野氏)

 データの増大やビジネス速度の加速により、企業の中でコンピューティングの需要は今後も伸び続けていく。こうした流れに対応するためにも、クアッドコア・プロセッサーの重要性はますます高まっていくと大野氏は言う。

 「究極的には電気や水道といったインフラのように、オンデマンドで使いたいときに使いたいだけのコンピューティングリソースが提供できる環境が企業システムには求められるようになっていくでしょう。このようなプラットフォームを実現するために、仮想化やグリッドコンピューティングといった手法は重要になります」(大野氏)

 アイアイジェイテクノロジーでは、2007年7月にサーバマネジメントの新サービスを投入していく計画とのこと。さらなる需要の高まりを期待する。

 今後、インテルのXeonプロセッサーは、すべてマルチコアへと集約される。現行の最新サーバコンピュータを導入しさえすれば、おのずとTCO削減と利用率向上が可能になるわけだ。これは、企業にとって非常に価値のある技術革新であり、今こそがクアッドコアXeonプロセッサーの“買い時”と言えるだろう。

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提供:インテル株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年5月31日