沖電気が携帯電話へ組み込み可能な超小型DSRC無線モジュールを開発した。GPSや車両間通信を利用して歩行者を守る仕組みが実現する。
沖電気工業は5月28日、DSRC車々間通信システムを携帯電話に組み込むことができる世界初の「超小型DSRC無線モジュール」を開発したと発表した。携帯電話と自動車に搭載されたDSRCシステムにより、歩行者を交通事故から守る仕組みが可能になるという。
開発されたモジュールは、道路上の車両同士が近接距離で通信を行えるDSRC(Dedicated Short Range Communications)方式の通信機能とGPS機能を一体化させたもの。ARIB STD-T75:狭域通信システム標準規格の1.3版に準拠し、RF部とMODEM部を1チップに集積した独自のLSIを用いて、GSM方式の携帯電話端末への実装を可能にした。
DSRC車々間通信システムでは、GPS機能で歩行者の現在位置情報が取得され、DSRC無線モジュールを搭載した携帯電話端末から半径数百メートルのエリアにいる複数の走行車両へ歩行者の位置情報が送信される。また、近隣の走行車両同士も双方の位置情報を送受信し合う。
これにより、ドライバーや携帯電話も持つ歩行者に対して、近接してきる他の走行車両や歩行者の状況を、メッセージや警告音、振動などで通知させることができる。特に交差点や曲がり角などのように見通しの悪い場所で、交通事故のリスクを軽減できるという。
OKIでは、2008年度から予定させる官民合同の安全運転支援システムの大規模実証実験や2010年度からの運用開始に向けた商品化開発を行っていくほか、モジュールの低消費電力化・小型化およびGSM方式以外(3G、PHS、無線LANなど)の無線通信規格に対応した端末の開発を進めるとしている。
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