Mac版登場でOffice互換性に問題の恐れ(2/2 ページ)

» 2007年05月31日 17時55分 公開
[Daniel Drew Turner,eWEEK]
eWEEK
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 Mac OS X開発者向けの雑誌「MacTech」の発行人兼編集長のニール・ティックティン氏によると、AppleがIBMのPowerPCプロセッサからIntelチップに移行したことで、Mac BUはソフトウェア開発プロセスを修正しなければならなかったという。さらにティックティン氏は、「VBAを新しいMac Officeに移植していたら、その作業のせいでリリースが大幅に延期されることになっただろう」と指摘する。

 「それに、何年か先にはVBAはなくなり、.NETに取って代わられるだろう」とティックティン氏は話す。

 Office 2008のリリースが近づく中、MacTechではMicrosoft OfficeユーザーがVBAスクリプトをAppleScriptに移行するのを支援するためのガイド「MacTech's Guide to Making the Transition from VBA to AppleScript」をリリースした。

 「これは単なる学術的問題ではない」とティックティン氏は話す。2007年中にリリース予定のMac OS X用ソフトウェアスイートの新バージョンであるMicrosoftのOffice 2008でサポートが中止になるVBAスクリプト/マクロは、多くの企業が自社のワークフローを標準化するために利用してきたからだ。

 ティックティン氏によると、MacTechガイドは、新しいOffice 2008を使いたいと考えているあらゆるユーザーに役立つという。Office 2008は、同アプリケーションで初めてユニバーサルバイナリ(PowerPCとIntelベースの両Mac上でネイティブに動作する)に対応するバージョンとなる。

 「ワークフローでVBAマクロを利用しているユーザーにとっては、今がVBAからAppleScriptに移行すべき時期だ」とティックティン氏は話す。

 ティックティン氏は、従来のVBAスクリプト/マクロの機能を代替するAppleScriptを書くのが非常に簡単であることに驚いたという。「これは一部のユーザーにとって大きなメリットだ。AppleScriptとOfficeを組み合わせれば、Finder、FileMaker、各種アプリケーションとの連携を自動化するなど、多くのことができるからだ」と同氏。

 コロラド州ラブランドにあるPenton Mediaでビジネスアプリケーション/データマネジャーを務めるニック・フリードマン・テボックホースト氏によると、同社が(PC用の)Office 2007および(Mac用の)Office 2008に移行すれば、クロスプラットフォーム互換性問題に対処しなければならないという。

 「当社のプラットフォームは基本的にPCベースだが、社内の一部のマネジャーはMacを使っており、彼らが財務スプレッドシートを従来通り利用できるようにする必要がある」(同氏)

 「当社ではアプリケーションの自動化をあまりやっていない」とテボックホースト氏は話す。MacでのVBAのサポートは「基準以下」で「信頼できない」と感じたからだという。

 「全般的に言えば、Mac用のExcelはPC版に比べると制約があり、外部データベースとのデータ共有機能も劣る」(同氏)

 テボックホースト氏によると、同社のMacユーザーの間では新しいOffice 2008バージョンへの関心が高まっているという。IntelベースのMacでのパフォーマンス向上が期待できるからだ。しかし同氏は、Macを使っているマネジャーらをPCに移行させるか、もしくはSWsoftのParallelsなどの仮想化環境を導入してWindows版のOfficeをMac上で動作させるようにするかもしれないという。

 同氏の会社がOffice 2007とOffice 2008にアップグレードした場合、経費報告書などの各種スプレッドシートの単一バージョンを全社的に管理することができなくなるという。「2種類のドキュメントを開発しなければならなくなるだろう」と同氏。もう1つの選択肢として同氏が検討しているのは、自社の約2000人の従業員のうちでMacを使っている10〜15%のユーザーには、手書きでフォームに入力してもらうという方法だ。

 テボックホースト氏は、AppleScript移行ガイドのことは知っており、同氏自身もAppleScriptについては詳しいという。しかし同氏はこれまで、自社のVBAスクリプトの移行を試みたことはない。この作業はそれほど大変ではないと同氏は考えており、AppleScriptがOffice以外のアプリケーションとの連携などの機能が改善された点を高く評価している。しかし「AppleScriptの利用がクロスプラットフォーム互換性問題の解消に役立つことはないだろう」(同氏)

 テボックホースト氏は、自社がどんな方針を採用するのか予測できないとしながらも、「この状況は、自社のMacユーザーにさらに肩身の狭い思いをさせることになりそうだ」と語る。

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