ITmedia ブランドはどうするのでしょうか?
村上 「インフォア」という単一ブランドに収れんさせていきます。今でこそ、Baan、BPCS、EXceed、あるいはEpiphany(エピファニー)といった、買収によって獲得した個別のブランドがよく知られているかもしれませんが、SOAアプローチによって連携が取りやすくなれば、製品と役割分担は次第に希薄になっていくでしょう。究極の姿としては、部品化されていくわけです。
顧客が過去のブランドを意識しない時代がいずれやってきます。旧社名や製品名を強調するよりは、今ここでインフォアの製品戦略、そしてそのベースとなっているSOA戦略をきちんと理解してもらえるよう訴えていきたいと考えています。
ITmedia インフォアのSOA戦略はどのようなものですか。
村上 われわれのSOA戦略は、顧客のカスタムアプリケーションやニッチベンダーのアプリケーションとよく馴染むよう、完全にオープンな標準に基づいています。そして、新たなミドルウェア製品を購入する必要もありません。アプリケーションにはSonic SoftwareのSOA製品を組み込んでいきます。インフォアのアプリケーション同士であれば、追加の投資は必要なく、連携させることができます。
選択肢の中にインフォア製品を入れてもらえれば、システム全体の価値はより高まるでしょう。われわれはアプリケーション市場を支配することを目的としていません。
ITmedia 競合各社のアプリケーション戦略とは違う、ということですか?
村上 SAPやOracleのような大手ベンダーは、どのような業種でも必要とする水平的なアプリケーションを主力としています。そして、アプリケーションをサービスとして提供するSaaS化を志向しているのではないでしょうか。彼らの買収を見ても、それは分かります。より多くの顧客企業が必要とする、つまり波及効果の高い製品や技術を傘下に加えています。
それに対して、われわれの顧客の中心は中堅の製造業です。大手ベンダーの巨大な製品があまり適合しない規模の企業でも、迅速な導入が可能で、適切な投資によって適切なROI(投資効果)が得られるパッケージ製品をインフォアは持っていますし、特定業種向けであっても製造業の中堅企業にとって必要だろうと思う製品や技術をさらに買収してきています。
世間ではSAPやOracleとわれわれが競合しているように見られているかもしれませんが、正面からぶつかることはないと思っています。
ITmedia 日本の中堅の製造業というと、工場単位でオフコンやメインフレームが導入され、それぞれがばらばらに運用されている、というケースが多いのではないでしょうか。
村上 長年、部分最適が図られてきた日本企業の情報システムですが、ここへきて全体最適への流れが出来つつあります。拠点同士が連携するグローバルサプライチェーン構築への取り組みがその良い例です。これはインフォアに限らず、大手ベンダーにとってもチャンスです。
しかし、われわれには、グローバルサプライチェーンの構築を短期間、かつ適切な投資で実現できた、実績のある優れた製品が既にあります。新たに発明されたものではありません。幾つかの製品を組み合わせて新しい価値も提供できます。インフォアには追い風が吹いています。
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