802.11nは企業にも早期浸透する? メルーがドラフト2.0対応の無線LANシステムInterop Tokyo 2007

無線LANベンダーのメルー・ネットワークスは、「Interop Tokyo 2007」において、IEEE 802.11nに対応した企業向け新製品を発表した。

» 2007年06月14日 11時10分 公開
[真実井宣崇,ITmedia]

 メルー・ネットワークスは6月13日、「Interop Tokyo 2007」においてIEEE 802.11nドラフト2.0仕様に基づく企業向け新製品を発表した。新製品はシャーシ型無線LANスイッチ「MC5000 Controller」をはじめ、WANトラフィックディストリビューションシステム「3TDS」、ロケーショントラッキングシステム「E(z)RF Hi-Fiロケーションマネージャ」、そしてアウトドアアクセスポイント(AP)「OAP180」などで、Interop展示会場では、AP「AP300ファミリ」も参考出展された。

画像 MC5000

 MC5000は、間近に迫りつつあるとされる「IEEE 802.11n活用期」に備えたセンター側ソリューション。再認証なしでユーザーのローミング時にセキュリティポリシーを適用するセキュリティ機能を備えるほか、不正APの自動検知/防御が行える。また、同社独自のAir Traffic Control技術により、通常よりも無線クライアントの利用密度を高めることができると同時に、アップ/ダウンストリーム両トラフィックの優先度制御を行い、高い音声品質を保証するQoS機能を提供する。

 1つのシャーシに、1枚当たり200台のAPを管理するブレードを5枚まで搭載でき、合計では1000台までのAPをサポートできることになる。米国ではすでに出荷しており、日本では今年後半に出荷予定という。

画像 メルー新製品の位置づけ

 また3TDSは、トラフィックの集中管理を行うことで、ユーザー負担を抑制させようというものだ。無線コントローラのOS「Meru System Director」のソフトウェアオプションという位置付けとなる。例えばIEEE 802.11nへのマイグレーション時など、コントローラ(無線LANスイッチ)に全トラフィックを集中させると、インフラである有線のスイッチネットワークやコントローラのアップグレード時にも再構築のコストが掛かる。3TDSではコントローラとAP間のデータトラフィックからコントロールトラフィックを分離し、ディストリビューションポイント側に管理およびコントロールを集約すると同時に、データディストリビューションポイントを増やすことができる。製品は今年後半に発売予定。

 E(z)RF Hi-Fiロケーションマネージャは、ロケーショントラッキングやデバイス管理機能を提供するソフト。例えば、ユーザーが定義した境界内に仮想的な「シールド」を設定し、ゾーン内にあるクライアントへのアクセスを許可する一方で、ゾーン外のクライアントからの不正アクセスをブロックすることができる。

画像 OAP180

 そしてOAP180は、駐車場、倉庫、港湾など屋内外で配線が難しい場所に設置するアウトドア型のAP。RFチャンネルの設定が不要で、同時にIEEE 802.11aと802.11b/gクライアントをサポートすることができる(写真3)。なお参考出展のAP300ファミリは、IEEE802.11a/b/g/nの同時利用が可能となっている。

「日本の方が早く浸透する」

 プロダクトマーケティング バイスプレジデントのスティーブ・トロイア氏は、「IEEE802.11n導入に際しては、例えば802.11gと比べて簡単でなければならない。またユーザー側に、無線LANのスループットが6倍向上するのに伴って既存の有線LAN側のキャパシティで大丈夫かという現実的な懸念がある」という。こうした点を重視し、同社では開発に取り組んできたと強調する。

画像 末松秀明代表取締役(左)とスティーブ・トロイア バイスプレジデント

 さらにトロイア氏は、IEEE 802.11nソリューションに関してメルー・ネットワークスには重要な戦略があるという。「11nの展開には、1つはAPの管理通信やデータ処理など全トラフィックをセンター側コントローラで対応する完全集中管理型による方法、もう1つはデータ通信だけはセンター側までもってこないでローカルで処理する方法がある」。前者の場合は、MC5000のようなハイパフォーマンスのソリューションで対応する。そして後者は、3TDSで対応するという。特に後者では、IEEE 802.11nへの移行が容易で、ユーザーの負担を軽減できるとしている。なお、米国で出荷済みのMC5000は、総合病院や大学、企業など多くのAPが必要な環境で導入され始めている。

 メルー・ネットワークスの末松秀明代表取締役は、企業へのIEEE 802.11n導入について「導入は日本の方が先に進んでいくかもしれない。特に1000台近いAPや端末を所有している企業が多くあり、このような、効率化しやすい。ましてや3TDSを利用すれば、かなり経済的なメリットも引き出せるはず。顧客からの問い合わせもいろいろいただいている」と明るい見通しを示した。

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