緊急地震速報を活用、「グラッ」と来る前の数十秒で損失回避Interop Tokyo 2007

Interop Tokyo 2007の会場では、緊急地震速報に基づいて社員に注意を促すとともに、制御系システムの緊急停止を行うシステムが紹介された。

» 2007年06月15日 16時30分 公開
[ITmedia]

 地震はいつ来るか分からない。会社員がオフィスで過ごす時間は少なくない以上、会社にいるときにグラッと来る可能性だってある。もちろん身の安全が第一だから、まずは避難することが大事だ。けれど、それまで作成していた大事な資料や過去のデータはどうしよう……?

 富士通はInterop Tokyo 2007の会場で、緊急地震速報に基づいて社員に注意を促すとともに、編集中のファイルを自動的に保存する「緊急地震速報システム」を紹介している。

 このシステムでは、気象庁が提供する緊急地震速報を受信すると、各クライアントPCにブロードキャストで警告画面を表示。従業員に安全な場所に避難するよう呼び掛ける。同時に、編集中のWordやExcelといったファイルがあれば、別名で自動保存を行う仕組みだ。地震までに若干時間の余裕があれば、PCのシャットダウンも行うという。

 総務や災害対策担当者、設備管理者向けには、震源位置や推定震度、到達予測時間などをグラフィカルに示す「表示クライアントソフトウェア」が用意されている。

 この仕組みを制御機器の接点と連動させれば、企業全体の災害対策に有効だ。例えば生産ラインの制御システムを緊急停止させたり、ガス管などの弁を遮断して二次被害を防止するといったことが可能だ。エレベーターを緊急停止させて閉じこめ事故を未然に防いだり、館内防災設備と連動させるといったこともできる。

 パトライトでは、富士通のこのシステムに、音声と光、文字で警報を発する「緊急地震速報表示端末」を組み合わせた警報システムを紹介した。

 「制御系がいきなり落ちてしまうと、その被害は甚大なものになる」と同社。不測の事態で制御系システムが異常終了すれば、その修復、復旧には多大な時間とコストがかかる。中には、宮城県沖地震で被害を受け、30億円規模の損失を被ったメーカーもあるという。

 震源地との距離にもよるが、緊急地震速報で得られる数十秒のアドバンテージを活用すれば、損失を未然に防ぐことが可能だ。また、導入に当たってさまざまなシミュレーションや訓練を行うことで、事業継続に関する意識の向上にもつながるだろう。

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