WAN高速化の導入で失敗しない方法――製品選び編最適化から始まる、WAN高速化への道(3/3 ページ)

» 2007年06月19日 08時00分 公開
[岩本直幸,ITmedia]
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海外拠点からのファイルアクセスの場合

 もう1つ、「アクセスする必要があり、速度1.5Mbps、遅延100msの回線環境で、海外から日本のファイルサーバへのアクセスを高速化する」ことを想定したケースを考えてみよう(図3)。

図3 図3●検証時のシステム構成(国外拠点)

 まず、WAN高速化ベンダーの調査として、先述のケースと同様、海外への導入実績がある主要ベンダーとしてシスコ、パケッティア、ジュニパー、F5、リバーベッドという5ベンダーを机上比較する。これはあくまでも筆者の過去の経験であるが、海外回線で実績があるベンダーとしてはパケッティア、ジュニパー、リバーベッドという3社が残ることになる。

 パケッティアにはWAFSに該当する「iShared」があるが、もともと海外で実績のある旧Mentatの「SkyX」(TCP最適化)も用意している。ジュニパーは、海外回線で多く使われている「Peribit」(現WX/WXC)というメモリベースの圧縮装置を開発した旧Peribitを買収した経緯がある。また、リバーベッドは新興企業ながら、わずか3年間で2000台の導入実績を上げた。

 次に、回線帯域が2Mbpsであることから、2Mbpsに対応した製品を調べると、3社ともに対応することが確認できた。アプリケーションはファイル共有のため、SkyX製品では効果が期待できず、iSharedの海外での実績も現時点ではまだそれほど多くないことから、最終的にはジュニパーかリバーベッドを扱う代理店を探すことになる。

 これら2ベンダーを取り扱っている代理店は複数存在するわけだが、このケースでは、海外にサポート拠点があるか否かというのが重要なポイントとなる。もちろん拠点があるからといって、導入しようとしている地域とは距離が離れている場合もあり、必ずしも代理店の海外拠点からサポートが得られるとはかぎらないが、海外におけるサポート拠点を代理店が持っていることは、選択時の1つの目安となる。ここでも海外との導入事例を確認しておきたい。

 海外拠点での導入時には当然、英語によるサポートが必要となるため、事前調整に時間がかかることも多い。特に、海外側がクライアント拠点である場合には、クライアントから検証を行うため、検証内容の周知も必要となる。もちろん、現地スタッフや国内の担当者が検証に赴くこともあり、検証自体は問題とならないかもしれないが、代理店側の技術スタッフに事前説明は行った方が、検証が円滑に運ぶ場合が多い。また、検証の内容を理解していれば、導入後の保守もスムーズに行えるはずだ。

 検証時の機器構成については、インパス構成またはアウトオブパス構成を検討する。このケースでの検討ポイントには、前述のポイントに加えて、代理店が海外での検証をスムーズにこなせることが挙げられる。


 次回は、WAN高速化の効果的なネットワーク構成について、筆者の経験に基づいて解説したい。

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