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» 2007年06月19日 19時46分 公開

ネットの中と外をつなぐIPサービスを目指す、楽天の三木谷社長

フュージョン買収について、楽天の三木谷社長は「インターネットの内外を融合するIPコミュニケーションサービスの展開を目指す」と語った。

[國谷武史,ITmedia]

 楽天は6月19日、東京電力傘下のフュージョン・コミュニケーションズを買収すると発表した。フュージョンのIP電話事業と楽天のオンラインサービス事業を融合させた、IPコミュニケーションサービスや法人向けマーケティングサービスの展開を計画する。

 東電は、同社が保有するフュージョン株式10万6527株(議決権比率54.27%)の全株式を、楽天メディア・インベストメントに譲渡する。譲渡額は6億7300万円。楽天は7月31日にフュージョンの子会社化を完了する見込みだ。

フュージョン売却で合意した楽天の三木谷社長(右)と東京電力の勝俣社長

 楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、同社会員をベースにしたECや証券など各種サービスの集合体「楽天経済圏」の拡大を目指すといい、「インターネット世界から外に飛び出し、固定通信と融合する新しいIPコミュニケーションサービスを展開する」とフュージョン買収の目的を説明した。

 今回の買収により、楽天は約3700万人の楽天会員に対してフュージョンのIP電話サービスを提供していく方針。また、フュージョンは同社の法人顧客に対して楽天会員をターゲットとした通話による成果報酬型の広告サービスを提供できるようになるとしている。

 当面は、楽天が5月23日から無償公開しているインスタント・メッセンジャー「楽天メッセンジャー」(現在はβ版)にIP電話機能を持たせ、PCからチャットや「050」電話番号を利用した通話(発信/着信)をできるようにするという。

まず楽天のIMと「050」番号のIP電話サービスの融合を目指すという

 楽天への譲渡について、東電の勝俣恒久取締役社長は「フュージョンの収益拡大と事業の成長が最も期待できると相手だと判断した」と話す。また、フュージョンの大島悦郎代表取締役社長は「当社にとって大きなチャンス。双方の強みを融合していく」と述べた。

 フュージョンは、旧電力系のパワードコムがKDDIと合併したのを契機に東電傘下となった。フュージョンは2007年3月期に14億5200万円の営業損失を計上するなど収益が悪化しており、東電では楽天からの打診を受けて年初から売却交渉を進めていた。なお、楽天では「09年度にフュージョンの黒字化を見込む」(島田亨取締役常務執行役員)としている。

 会見後、「本格的な通信事業への参入を目指すのか」という質問に対して三木谷社長は、「新サービスの創造が狙いで、楽天本体がインフラを所有して通信事業を展開する考えはない」と話した。

Webサービスの新展開?

 フュージョンは、IP電話やマイラインサービス以外にも法人向けの携帯電話料金分計サービス「モバイルチョイス」やSkypeと同社のIP電話サービスを接続する「フュージョンでSkype」などの事業を展開する。三木谷社長は、「東電がこれまでに育ててきたフュージョンの事業をしっかりと継承した上で新たな事業を展開する」という。

 特にフュージョンとSkypeとの提携は、楽天が目指す事業展開と重複することが想定されるが、「現行のビジネスはこれまで通り継続する」(フュージョン広報担当者)と説明する。

 三木谷社長は、会見の中で楽天メッセンジャーについて「正規版ではさまざまなサービスとの接続を重視する」とコメントしており、今回の買収によって世界で1億5000万近いユーザーを抱えるSkypeと楽天メッセンジャーの相互接続などが実現する可能性も想定されている。

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