もはや「待ったなし」の次世代EDIを実現するシステムとは止まらない、という絶対価値

今後のEDIに求められる要件は、24時間365日の稼働と、リアルタイム処理だ。特に流通業界などでは、次世代EDI標準への対応が大きな流れとなっている。HP Integrity NonStopサーバは、このEDIの分野でも重要な役割を果たす存在だ。

» 2007年07月05日 10時00分 公開
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 電子データによる効率的な受発注を実現し、いまや企業間の取引に不可欠な存在となっているEDI(Electronic Data Interchange)。多くの業界で営業時間の拡大やビジネスのグローバル化に伴い、最近ではEDIシステムにも24時間365日の稼働、そして高い可用性が求められるようになってきた。

未だに残る時代遅れの仕様

 株式会社データ・アプリケーション ACMS統括本部 上級コンサルタントの藤野裕司氏には、約四半世紀もの期間に渡ってEDIソリューションを手掛けてきた経歴がある。

株式会社データ・アプリケーション ACMS統括本部 上級コンサルタント 藤野裕司氏

 その藤野氏は、現在の日本のEDIには大きな課題があると指摘する。

 「日本のEDIでは、1980年頃にスタートした当時からの古い標準、『全銀手順』『JCA手順』といったプロトコルがいまだに使われています。データの仕様が各業界などの都合でいくつも枝分かれしており、細かく分類すれば流通業界だけを見ても3000種あまりになっているという状況です。しかも、それらの手順に対応した通信機器はすでに販売終了となり、故障したらどうしようもありません」

 長い歴史を経て、EDIを取り巻く環境は大きく変わった。通信事情だけをみても、今ではインターネットが広く普及しているが、JCA手順などは公衆回線網を前提に作られたものだ。また、EDIの使われ方も変わってきており、単なる企業間の商取引に限らず、企業内を含めた広い意味でのデータ交換という位置付けになってきている。もはや、従来のEDI方式では、この時代の変化に対応しきれなくなったと言える。

 藤野氏によれば、JCA手順などが登場した頃、コンピュータシステムはメインフレームによるバッチ処理が基本であり、1日に1回から、多くて数回の一括処理で済んでいたという。

 「しかし、コンビニエンスストアに代表されるように、今は24時間営業で大量の商品が流通する時代、バッチ処理では間に合いません。もはや、EDIのシステムは『止められない』のです。そこで、ここ数年では、新しい形のEDI標準を確立することが、流通をはじめ各業界での緊急課題となっています」(藤野氏)

急激に変わりつつある流通業のEDI環境

 EDIの仕様に関して、特に大きな動きがあるのは流通業界。他の業界よりも新規格への移行が大幅に遅れてしまったことが最大の原因だと藤野氏は言う。

 「流通業界では、2000年問題への対応が一段落したところで『消費税総額表示』への対応に追われ、EDIの新しい規格を考えている余裕がなかったのです」

 新たなEDI標準策定のため、旗振りを始めたのが経済産業省だ。2003年から「流通SCM事業」をスタート、総合スーパーや食品スーパーなどでの取引の流れを研究し、インターネット経由による実証実験を行った。

 「この事業は2005年までの3カ年で完了し、続く2006〜2008年は2期目となる『流通システム標準化事業』として、いよいよ本番に向けた標準化と共同実証、普及・拡大に取り組んでいるところです。2006年度には、量販店4社、卸売9社が参加する共同実証も終え、グロッサリー商材ではほぼ実稼働のめども立ちました。今年度からは、商材を生鮮やアパレルに拡大、業態を百貨店へ広げようとしています」(藤野氏)

 通信基盤はインターネット、通信手順は、「ebMS*1」「AS2*2」という2つの世界標準に加え、日本独自の「JX手順*3」も選択できるようになっている。国内専用規格の採用は、中小規模企業が多い日本の商環境に対応したものだという。

*1 ebMS:EDIの国際標準ebXMLの通信プロトコル部分。インターネット上で高速安全高度なEDl環境を構築することが可能。
*2 AS2:lETFが制定したインターネットEDIの国際標準。ウォルマートを中心に欧米での普及が始まっている。ebMSより規格はシンプル。
*3 JX手順:ebMSやAS2などのサーバタイプを利用できない小規模な企業向けに開発された日本独自仕様クライアントタイプの通信プロトコル。

 データ形式はXMLで、企業識別や商品識別のコード体系も国際標準に準拠したものとなった。この共同実証を起点として、いよいよ本格的に日本の流通業におけるEDI改革が進むと藤野氏は期待している。

 「今後、大手量販店が動きだせば、そこに納品する卸売り各社や直取引を行っているっているメーカーはすべて関係してきます。さらには、そこにつながる取引先へと、水面に広がる波紋のようにどんどん広まっていくことでしょう」(藤野氏)

製造業のEDIは業界ごとの標準規格へ

 製造業では、最終的な商品の分野ごとに業界が分かれて、それぞれのEDI標準を作っている。さらに国ごとの事情があり、様相は複雑だ。

 例えば電子機器業界では、多くがJEITA*4(旧EIAJ)による国内のEDI標準を使っており、最近ではそれに加えて「ECALGA*5」という規格が登場している。世界標準として「RosettaNet*6」が存在しているが、日本独特の取引に合わせにくい部分もあり、国内ではそれほど多くは採用されていない。ただ、最近になって海外のメーカーが日本の部品メーカーに直接RosettaNetによる取引を要請をするケースもでてきている。これにより、海外とは国際標準、国内では日本標準でEDIを行うなど、標準をうまく使い分けるテクニックもこれからは求められるようになるだろう。

*5 ECALGA:ECALGA(Electronic Commerce ALiance for Global Business Activity)は、JEITA/ECセンターが標準化、実用化を推進している次世代EC標準の総称
*6 RosettaNet:PC業界や電子部品業界が中心となった企業間電子商取引の標準化団体

 それに対し、自動車業界では、「ANX(米国)」「JNX(日本)」といった、閉じたIP網上でデータ交換を行うセキュアなネットワークが構築され、業界のサプライチェーンを支える基盤となっている。完成車メーカーが業界をリードしやすいことから、標準も決まりやすいということのようだ。

 「製造業界」という大きな枠組みでのEDI標準策定の動きもある。それが「COXEC:コゼック」だ。

 データ形式はXML、メッセージングにはプッシュ型だけでなくプル型にも対応した最新の「ebMS 3.0」を用いており、大企業から中小規模まで幅広く利用できるのが特徴だ。インターネット上に複数の共通ASPサーバを置き、そこへ各社がアクセスするという仕組みだ。

 「しかし、現時点ではまだ盛り上がりに欠けているというのが実状です。製造業といっても、単一の業界とはいえないのです。扱っている商品も違えば、取引形態も違っており、製造業全体での業界標準策定は難しいと言わざるを得ません。また、ASPサービス自体がどれだけ安価に提供できるかも大きな課題となっています」(藤野氏)

次世代EDI標準に対応する「ACMS」

 これまで紹介してきたように、EDI標準は時代に応じて新しい仕様が次々に作られてきている。これら次世代EDI標準では、基本的にインターネットという低コスト・高速の通信回線を活用し、データ形式も柔軟性の高いXMLを採用している。そして、バッチでなくリアルタイムの処理を行い、ビジネスの迅速化を図っているという点が、今のEDIシステムに大きく影響を及ぼす。

 「用途も、単なる受発注情報にとどまらず、在庫状況や配送状況といった状態の把握などに用いられるようになってきており、より頻繁なデータのやり取りが発生します。そういう意味では、まさに止められないコンピューティングが必要になってくると言えるでしょう」(藤野氏)

 データ・アプリケーションのEDI用ソリューション「ACMS」シリーズは、1993年の発売以来、常に改良を続けて発展してきた製品だ。日本のEDI市場においてシェア38.3%(富士キメラ総研『2007パッケージソリューション・マーケティング便覧』)と、2位の倍近い売上実績で首位を誇る。ちなみに、先に紹介した経産省の「流通システム標準化事業」では、量販店4社中1社と卸売9社中4社がACMSを採用しているとのこと。

2006年実績調査に基づいたACMSの製品市場占有率(出展:株式会社富士キメラ総研 『2007パッケージソリューション・マーケティング便覧』)

 このシェアの高さは、単に古くからの実績という安心感だけによるものではない。サポート規格の幅広さも大きな要因だ。多様な標準に1つの製品で対応できるということは、複数の標準にそれぞれのシステムで対応するよりずっと効率的だ。EDIに関連するシステムを単純化でき、インテグレーションも運用もシンプルにできる。また、ACMSは多様なメッセージング処理に対応し、メインフレームとのデータ連携を行うアダプターも用意されているため、EDIのみならずEAIにも利用できるのが特徴だ。最近では企業間の取引だけでなく、企業内でも部門間でデータ連携が必要になってきているが、そういったデータ変換・中継を一元化することが可能になる。

 「そのときどきの日本の世の中に求められるもの、標準などを全て取り込んできて、今に至ります。通信プロトコルからシンタックスルール(データフォーマット形式)、文字コードなどあらゆるEDI標準を全てサポートしているのはACMSだけですね」という藤野氏の言葉には、長年に渡ってACMSを育ててきたDALの自負が伺える。

ACMSとNonStopサーバの密接な関係

 ACMSはマルチプラットフォームをサポートしており、製品ファミリー全体では、クライアント版OSからエンタープライズサーバまで、さまざまなプラットフォーム上で稼働する。そして、HP Integrity NonStopサーバ(以下、NonStopサーバ)にももちろん対応している。企業の規模を問わず使える製品という点も大きな特徴だ。

 日本HP テクニカルセールスサポート統括本部 エンタープライズ ストレージ・サーバ推進本部 シニアコンサルタントの篠原哲也氏は、NonStopサーバでのEDIについて、次のように語っている。

日本HP テクニカルセールスサポート統括本部 NonStopビジネス推進部 シニアコンサルタント 篠原哲也氏

 「24時間365日の稼働や、高い拡張性などのメリットが評価され、旧世代のEDI標準だった時代から、流通業・製造業又、ASPサービス等の大規模EDIシステムにNonStopサーバが用いられてきました。次世代EDIでの採用はこれから本格化する段階ですが、すでにいくつか先駆的なのプロジェクトが動き出しており、もうすぐ本番稼働開始というものもあります。また、ある企業では、これまで複数(汎用機も含む)プラットフォームで稼動していたEDIシステムをNonStopサーバ上のACMSに統合していくことを検討しています」

 このACMSとNonStopサーバの組み合わせは、非常に相性が良いのだと篠原氏は言う。

 「ACMSは分散処理に対応した設計となっており、NonStopサーバはシェアードナッシングの疎結合アーキテクチャですから、各タスクを異なったCPU上に分散配置することができます。ACMSはピュアJavaで組まれており、NonStopサーバもJavaVMを持っていますから、そのままでも動作しますが、高可用性かつ、効率的な動作のためにコンポーネントを追加し、最適化を図っています」

次世代EDIはすぐそこに

 「日本では、まだまだメインフレーム上でのデータ交換が相当数使われているのが実状です」と藤野氏は言い、それらのユーザーに対して警鐘を鳴らしている。

 「あるベンダーのメインフレーム用データ交換エンジンだけでも、まだ1000社以上で使われているとも言われています。こうした企業のうちの相当数が、近い将来には次世代EDIへの対応を迫られてくるでしょう。業界内にいて感じるのですが、ここ1年ほどで、大きく風向きが変わってきました。業界全体が一気に次世代EDIへ移行するとしたら、一体、何社のシステムインテグレーターが動かねばならないでしょうか。自分の判断で動かせるうちに、早めに移行した方が良いのではないでしょうか」

 NonStopサーバはメインフレームにも接続できるため、メインフレームからオープン系への段階的な移行も容易に行える。まず通信部分をACMSに置き換えて次世代EDIへの迅速な対応を行い、その後はアプリケーション資産を徐々にオープン系へ移行していくことができる。

 「NonStopサーバの信頼性、可用性は、他のオープン系サーバにはないものです。また、EDI以外の部分でも、NonStopサーバはメインフレームと組み合わせて使うのに適した機能を数多く備えています。メインフレームでのデータ交換から、NonStopサーバ上のACMSへの移行というパスは、多くのメリットを提供できると思います」(篠原氏)

 流通業や製造業を中心として、いよいよ次世代EDIへの対応は「待ったなし」の状況になってきた。しかも、業界全体の動きであるから、企業規模に関係なく対応が不可欠と言える。NonStop サーバとACMSの組み合わせは、こうした次世代EDI対応はもちろん、さらに多くのメリットをもたらすソリューションと言えよう。

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年8月5日