米Microsoftは、DLR上に実装するRuby言語のMS版インプリメンテーション「IronRuby」を発表した。RubyForge上で8月末に公開予定となっている。
Microsoftでは、Ruby言語の同社版インプリメンテーションに対してコミュニティーからフィードバックを受け入れる準備が整ったようだ。
Microsoftは7月23日、オレゴン州ポートランドで開催中のO'Reilly Open Source Conventionにおいて、「IronRuby」(Ruby言語のMicrosoft版インプリメンテーション)のコア機能セットをRubyForge上で提供し、コミュニティーのフィードバックを受け付けると発表した。RubyForgeは、プログラミング言語のRubyに関連したプロジェクトを対象とした協調型ソフトウェア開発管理システム。
RubyCLRの開発者でMicrosoftのDLR(Dynamic Runtime Language)チームのメンバーであるジョン・ラム氏は、7月23日付のブログ記事で、同チームはこの2カ月間、IronRubyの最初のソースコードをリリースする準備を進めてきたと述べている。
「IronRubyのソースコードの最初のリリースを本日発表できるのを喜ばしく思っている。IronRubyは、Microsoft Permissive Licenseで規定された非常に寛大な条件の下でライセンスされる。また、われわれはIronRubyライブラリへのソースコードの提供も受け入れる予定だ。現時点では、まだ多くの関連作業が残されているが、8月末までにはRubyForge上でIronRubyを公開するつもりだ」(ラム氏)
IronRubyはDLR上に実装される。DLRはCLR(Common Language Runtime)2.0上で動作するサービス群で、.NET Framework上で動的言語を実行するのに利用される。IronRubyは.NET Frameworkに完全に統合され、.NET Frameworkの全バージョンを通じてWindowsデスクトップ/サーバプラットフォーム上で動作するほか、Silverlight 1.1を通じてクロスプラットフォームにも対応する予定だ。
ワシントン州レドモンドに本社を置くMicrosoftは2007年4月に、ラスベガスで開催された同社主催の「MIX」カンファレンスでIronRubyとDLRを初めて紹介した。同社はそのとき、コミュニティー開発サイトのMicrosoft CodePlex上でDLRとIronPythonをMicrosoft Permissive Licenseの下でリリースする予定だと発表した。同社によると、IronRubyの発表は、ユーザーおよび開発者コミュニティー全体のニーズに対応したさまざまな革新的な技術を提供するという同社のコミット姿勢を示すものだという。
ラム氏によると、MicrosoftではIronRubyライブラリへのコード提供だけを受け入れ、コンパイラ全体に対するコード提供は受け付けない方針だ。「これは、IronRubyがDynamic Language Runtime上に実装されており、現時点ではDLRへのパブリックインタフェースが完全なものではないからだ。DLRは将来、CLRの一部として出荷されるため、少なくとも当初の間はIronRubyコンパイラへのコード提供を受け入れることはできない。しかしDLRが成熟し、パブリックインタフェースをフルサポートした1.0の段階になれば、IronRubyプロジェクトのすべての部分を完全に公開し、外部からのコード提供を受け入れるつもりだ」と同氏は話す。
ラム氏のチームはIronRubyの最新リリースで「かなり優れたパフォーマンス」を実現したという。「われわれはDynamic SitesというDLR機能を利用している。これは、アダプティブ型コールサイトメソッドキャッシングのインプリメンテーションだ」(同氏)
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.