Web2.0によって情報力が飛躍的に上回ったのは誰もが疑わないところだ。その思想や技術を企業情報システムに活用することは、自然な流れだと言えるだろう。
調査機関やコンサルタントなどは、講演やセミナーでWeb2.0の企業システム活用の重要性を述べている。まず最初に幾つかのコメントを挙げてみよう。
また、大手ベンダーもエンタープライズ向けのコラボレーションツールにWeb2.0技術を採用する動きが出てきている。
調査機関やコンサルタント、そして大手ベンダなどの提案・提供者側が、Web2.0を企業に導入することを推奨しているが、実際に利用する側の立場から見るとどうなのだろうか。
「インターネット白書2007」によると、「企業におけるWeb2.0の重要性を認識しているものの、半数以上が具体的な利用計画に至らず」という結果が報告されている。
管理職の59%が「会社の収益を増やす機会である」とWeb2.0の重要性を認識しているものの、経営者層の54.1%は「会社の収益に影響はない、または分からない」と答えている。つまり、管理職は必要であると認識していても、経営者層の理解を得るのにハードルが高く導入まで至らないというケースが多いようだ。
以上の結果を見ると、「エンタープライズ2.0」に関する意識の面で、提案・提供者側と利用者側(得に経営者層)との間にギャップが生じていることが分かるだろう。
さて、「エンタープライズ2.0」という言葉が2006年から言われるようになり、専門家がそれぞれの意見を述べている。しかし現在では、まだ明確な定義が出ているとはいえない状況だと考えている。
“エンタープライズ2.0”の起源は2006年9月、ハーバードビジネススクール准教授のAndrew McAfee氏が書かれた記事「Enterprise2.0:The Dawn of Emergent Collaboration、MIT Sloan Management Review Spring 2006」にあると言われている。
この記事中では、「ナレッジワーカーの活動や成果物を可視化するために、企業が構築・導入するプラットフォーム」と説明している。また、その概念をSLATESという頭文字で表している。それぞれは略は以下の通りだ。
Search:コンテンツの検索(エンタープライズサーチなど)
Links:コンテンツへの関連付け(Webリンク、ページランクなど)
Authoring:コンテンツの作成(ブログ、SNS、Wikiなど)
Tags:コンテンツの分類(ソーシャルブックマークなど)
Extensions:コンテンツの推奨(レコメンデーション・エンジンなど)
Signals:コンテンツ更新の通知(RSSフィードなど)
エンタープライズ2.0をひと言で表現するならば、Web2.0の技術と思想を企業情報システムに活用すること、と言えるだろう。また、該当するサービス例として、社内SNS、イントラブログ、社内Wiki、RSS、エンタープライズサーチ、エンタープライズブックマークなどが挙げられる。将来的には、ミニブログとして話題となっているTwitterライクなサービスも社内Twitterなどとしてその仲間入りをするかもしれない。
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