なにがしのコード求む! ソース共有サイト「code*」への期待

「最も早い、なにがしのコード求む!」などの一言をキッカケに、プログラマーがソースコードの投稿をし合っていた時代がかつて存在した。プログラミングは楽しいということを再認識して欲しいという思いが「code*」の誕生につながった。

» 2007年08月02日 02時59分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 「技術者なら一度は欲しいと思うであろう、技術情報やソースコード、ノウハウの体系的な共有化、オープン化はまったく行われていないではないか」――テックスタイルの代表取締役である吉田斉氏が長年感じていたこの疑問。ベンダーや各種メディア、あるいは私的な個人のブログで散在しているこうした情報をなんとか集約・共有できないかという同氏の熱意は同氏のよき理解者であり、相棒である岡田良太郎テックスタイル代表取締役と、彼らが立ち上げた「テューンビズ」「テックスタイル」「オープンタイプ」といった企業群からなるTechStyle Groupによって、本日8月2日、「code*」(コードなにがし)という名のソフトウェア技術情報の公開・共有サービスとして結実した。

code* code*(コードなにがし)

 ネットサービスなどの開発現場では、技術情報やソースコード、ノウハウの体系的な共有化、オープン化が行われていないがゆえに、開発時に問題に遭遇すると、「Google先生に聞く、またはメーリングリストで勇気を出して質問してその結果『ググれ』と怒られる」(吉田氏)。結果、時間もコストも研究検証費も掛かり、本来時間を割くべきその先の開発に集中できないのが現状だ。

「日本初のソフトウェア技術イノベーションを起こしたい」と吉田氏

 同サイトは、ソフトウェア技術情報に特化したインターネット上のデータベースサイト。コーナーとしては大きく2つ。気楽に質問や相談ができる「教えて・助けて・コード書いてっ♪」と、ソースコードやノウハウを共有する「ソースコード・ノウハウッ!」だ。インタフェースにはタグや投票による評価など、Web 2.0的なフレーバーも付け加えた。もちろん利用は無料だ。すでにオープンしたサイトには、同社がこれまで蓄積してきた情報なども惜しみなく公開されている。

 オープンスタンダードを基軸とし、その土壌を醸成しつつ組織化、さらにはオープンタイプと同様のスタイルで専門事業会社を幾つか立ち上げるという同社の中期的な戦略において、今回発表されたcode*はまさに土壌の醸成に位置するサービスといえる。

「APIなども公開すべきと考えている。閉じている意味はない」と岡田氏

 code*のようなサービスがこれまでなかったかと言えば、規模を問わなければ幾つか挙げることもできる。しかしそれらのサービスの多くが、質問者ばかりが集まってしまい、死屍累々の結果に終わっていることもまた事実だ。「情けは人のためならず」と考え、無償の奉仕(ここでは教える側)に回れるのか、そもそも高度な技術の集約が図れるのかなど、懸念される点もある。しかし、公開された情報の中から不正なプログラムやバッドノウハウを判別するステムや、これまで同社が培ってきた技術コミュニティーとの連携による最新情報やノウハウの共有を進める予定であるなど、これまでの同様のサービスで問題とされていた部分にはメスが入れられている。さらに「文書版YouTube」「群集の英知活用サービス」「ソフトウェア技術開発支援ファンド設立」など順次発表予定であることなどを考えれば、code*も含めた同社の動きには注目したいところだ。

 「CEOやCFOは脚光を浴びるが、CTOはどうか。日本初のソフトウェア技術イノベーションを起こすためには、まず土壌が必要。われわれは2010年まで『オープン化』の価値を高め、『技術主導』で世の中に影響を与えられる土壌作りに注力する」(吉田氏)

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