2025年の生成AIトレンドを凝縮した年間ランキングを公開。企業が生成AIの「本格導入」へと進む中、読者が注目した技術や活用事例とは。激動の1年を振り返り、2026年の展望を考察する。
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2025年も『ITmedia エンタープライズ』をご愛読いただき、誠にありがとうございました。
年末特別企画として、2025年に公開された記事の中から、読者の皆さまによく読まれた記事を振り返る「2025年 年間記事ランキング」をお届けします(集計期間:2025年1月1日〜12月1日)。
今回お届けするのは、「ChatGPT」の登場以降、話題に事欠かない「生成AI」に関するランキングです。総務省の『情報通信白書 令和7年版』によると、大企業の約5割、中堅・中小企業の約3割が生成AIを活用する方針を示しました。2025年は企業における生成AIの“本格導入”の年になったと言えそうです。そんな中、読者の皆さんが注目したのはどのような記事だったのでしょうか。
2025年のヒット記事からは、企業におけるAI活用がチャットbotによる業務効率化という段階を終え、より複雑なタスクをこなす「エージェント化」や既存業務ツールへの統合へと進んだことを示しています。一方で、技術的な限界に対する冷静な評価と、それを乗り越えるための現実解も注目を集めました。以下では、このランキングから見えてきた、企業の生成AI活用における3つの変化について解説します。
2025年の最大のトピックの一つは「AIエージェント」です。
Gartnerが発表したハイプ・サイクルでは、「AIエージェント」が「過度な期待」のピーク期にあるとされ、次のトレンドの主役として位置付けられました。これは、AIが人間の指示を待つだけでなく、状況を把握し最適な行動を自律的に実行できる段階に入ったことを示しています。
このトレンドを象徴する機能の一つが、「Microsoft 365 Copilot」に追加された「Agent Mode」です。ExcelやWordでの作業をAIとの対話的な協働プロセスへと変革しました。例えば、Excelにおいて「売上データを分析して」と指示するだけで、AIが適切な数式を選び、グラフ化まで自律的に実行できるようになりました。これは従来のチャット型支援を超え、AIがまるでユーザーの同僚のように振る舞う体験を提供しています。
米国ラスベガスで開催されたAmazon Web Services(AWS)の年次イベント「AWS re:Invent 2025」では、コーディング領域におけるエージェントの進化が語られました。エンジニアの役割は「コードを書くこと」から、AIエージェントに指示を出し、複数のエージェントを統率する「仕様駆動開発」や「マネジメント」へとシフトしつつあります。
AIを利用するために新たなツールを起動するのではなく、使い慣れた業務ツールの中でAIを利用する流れが加速したことも、2025年のトレンドと言えそうです。
特に注目を集めたのが、Excelに追加された新関数「COPILOT関数」です。セルに「=COPILOT(...)」と記述するだけで、自然言語による指示でデータの要約や分類が可能になりました(ただし、利用できるのは「Microsoft 365 Copilot」ライセンスを持つ「Beta Channel」ユーザーのみ)。これにより、複雑な関数式を組まずに高度なデータ処理ができるようになり、AI活用の一般化に貢献しました。
「Microsoft Teams」のグループチャットでも管理者が機能の利用を許可していれば「@Copilot」とメンションすることで、AIをチームの一員として会話に参加させられるようになりました。AIと共に働くスタイルの定着が見込まれます。
Googleは、全プログラムコードの約30%をAIで生成する他、会議の議事録作成や食品廃棄削減に至るまで、さまざまな業務プロセスにAIを組み込んでいることを明かしています。
外部のデータをAIに参照させる「RAG」(検索拡張生成)については、過度な期待が落ち着き、冷静な評価が下されるようになりました。
Gartnerのレポートでは、RAGが「幻滅期」に突入したとされています。この背景には過度な期待期にPoCや実導入を検討した企業においてRAGの回答精度の限界や運用コストなどの課題が浮き彫りになり、現実的な取り組みが求められるようになったことがあると考えられます。
この課題に対し、独自の工夫で「使えるRAG」を模索する動きが日本国内でも見られるようになってきました。
2025年のヒット記事からは、AIが「魔法の杖」として無邪気に期待される時期が終わり、「リスクを管理しながら使いこなす道具」として、地に足の着いた活用が進んでいる様子がうかがえます。2026年もこの流れはさらに多くの企業に広がるでしょう。
トップ10にはランクインしませんでしたが、現実世界のデータを学習したAIが物理法則を考慮して機械を制御する技術「フィジカルAI」も2026年に注目すべきトレンドの一つです。デジタル空間の業務効率化に貢献してきた生成AIが、建設業や物流、製造業などの現場で活躍する未来が見えてきました。
2026年はエージェント型の製品を中心として導入・活用が一層進む一方で、インフラやデータ基盤、セキュリティなど、AIを動かすための基盤技術にも引き続き注目が集まりそうです。企業のIT部門としては、先進的な製品に注目するだけでなく、「まず基礎から固める」という意識も重要になるでしょう。
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