ODF、MS Officeと相互運用性を実現できず(1/2 ページ)

Sunなどのベンダーに対しては、Open Document Format(ODF)をMicrosoftのOfficeフォーマットと対抗できる標準にする上で必要な相互運用性を実現する努力を怠っているという批判がある。

» 2007年08月13日 18時47分 公開
[Tiffany Maleshefski,eWEEK]
eWEEK

 Microsoft Officeの代替製品を勧められた企業が最初に思うのは、そのソフトウェアは、事実上の標準となっているMicrosoftのファイルフォーマットをきちんとサポートするかということだ。

 米eWEEKラボでは、Open Document Format標準をベースとする各種のプロダクティビティアプリケーションをテストした(同標準を採用した製品で最も有名なのが、Sunの「StarOffice」およびそのオープンソース版の「OpenOffice」である)。テストから判断する限り、ドキュメントの再現性は不完全であり、ほとんどの企業や組織には満足できないものだ。

 OpenDocument Foundationの創設者であるゲーリー・エドワーズ会長によると、OpenOfficeなどのOpen Documentベースのアプリケーションは、同フォーマットを推進するベンダーがその気になりさえすれば、より高い相互運用性を提供することができるという。ソフトウェア標準の開発に取り組む個人に資金を提供する非営利組織である同財団は、マサチューセッツ州のOpen Document Formatの実証実験に参加したほか、OASISのOpen Document技術委員会(ODF TC)の設立当初から同委員会に参加していた。

 エドワーズ氏は、「同委員会を監督するSunは、相互運用性の促進という長期的目標を共有しながらも、簡単に利用できるOpen Document Formatの実装に必要な変更を推進する役割を十分に果たしていない」と話す。同氏によると、SunはODFの開発を、自社のオープンソーススイートであるOpenOffice.orgがサポート/実装している機能だけに限定するよう主張しているという。これに対して同氏は、完全な変換再現性を実現するのに必要であれば、MicrosoftのOffice固有の拡張機能を受け入れるべきだとしている。

 「プロプライエタリな拡張機能をベースラインの上に置くというベースラインインプリメンテーションの問題は、以前からODF TCの懸案事項だった」とエドワーズ氏は自身のブログ「Open Stack」の4月6日付の記事で述べている。

 「われわれがやろうとしたのは、Open XMLの技術と手法を受け入れてベースライン内に実装することにより、プロプライエタリな拡張機能をベースラインの上に置くことができるようにすることだ。これは、ベースラインから分岐する以外に選択肢がないという場合のニーズに対処するためだ。ベースラインの質と奥行きは、相互運用性と変換の再現性を規定する。ベースラインから分岐してしまうと、相互運用性および変換品質のレベルが損なわれる。このためODFの設計者たちは、予想される一般的な相互運用性のユースケースのすべてに対応する包括的ベースラインが存在する市場を提供しようとしているのだ」と同氏は記している。

 「各種の市場セグメントおよび個別業界向けインプリメンテーションが『拡張機能』の導入を必要とするのは間違いない」と同氏は続ける。

 「これらの拡張機能はプロプライエタリである可能性もあれば、オープンなものである可能性もある。われわれはオープンであることを望むが、プロプライエタリであろうとなかろうと、ODFに対するクローズドな拡張機能やパッケージ化された拡張機能セットが理にかなう状況も数多く存在する」(同氏)

 しかしSun Microsystemsは、MicrosoftフォーマットとOpen Document Formatとの間の不整合を解決するには、プロプライエタリな拡張機能に頼るよりも、ODFベンダー各社の経験と知識に頼る方が良いと主張している。Sunのコミュニティー開発/マーケティング担当マネジャー、アーウィン・テナムバーグ氏は、「OpenDocument Foundationは相互運用性の実現方法に関して異なった理解をしている」と語っている。

 OASISのOpen Document Format採用委員会の共同委員長を務めるテナムバーグ氏によると、Sunでは、Open Document Formatの開発を続ける上で最も現実的な方法は、土台から築き上げる作業を維持することだと考えている。一貫性のないプロプライエタリな拡張機能を標準化することは、プロセスの複雑化と混乱を招くという。ほとんどのアプリケーションがその情報を利用することができないからだ。

 テナムバーグ氏の見解によると、Open Document Formatに機能を追加する手法として、2つの主要な理念的アプローチがある。1つは、IBM、Sun、Novell、Adobe、Corelなどの支持ベンダーに、アプリケーション間の相互運用性を促進するのに必要な機能を実装してもらうという方法だ。

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