プロジェクトの推進エンジン――影の仕事を活用する「シャドーワーク」の役割(2/2 ページ)

» 2007年08月14日 09時10分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]
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スピードが違うシャドーワーク

 「インフォーマルというわけではないですが、プロデューサーというのはシャドーワーク的な動きがとても多いんですよ。一般の会社ではインフォーマルと受け取られるような仕事のスタイルが、そのままフォーマルになっている。本当に出来上がるかどうか分からない映画のプランを考えるために、ありとあらゆる人や場所から情報収集する。いい原作に出会うために、出版社の人たちともネットワークを作って、まだ本になる前の小説なども読ませてもらったりしますから」

 同氏はドーガ堂という会社を設立する前の準備をする会社を立ち上げる仕事もしていたという。当初の社員は浅見氏も入れて2人。何もかも自分たちで動かなければならなかった。

 「ビジネスモデルとして成立するか、その調査をするための会社をまず立ち上げたのです。これも広い解釈でいえばシャドーワークといえるかもしれませんね。もちろんインフォーマルではないですが。私の取り組みで言えば、シャドーワーク的な仕事がフォーマルな場面にどんどん展開されているというところでしょうか。いま企業の動きは大変早くなっている。プロジェクトもスピードを上げて動かさないと、誰も見向きもしない。シャドーワークが注目される理由というのは、インフォーマルな影の動きというよりも、シャドーワーク的なチームのスピード感なのではないか」(浅見氏)

コンテンツ提供ビジネスへの想い

 プロデューサーというのは、インフォーマルなワークスタイルが日常の中で定着している職業なのかもしれない。立場などをあまり明確にしないで、どんどん人や情報を呼び込んで仕事を進めるということだろうか。

 現在の仕事についても浅見氏は次のように語る。

 「松竹グループの資本は入っていますが、別に松竹系のコンテンツだけを配信しようとしているわけではありません。広くオープンに、良いコンテンツを求めています。特に携帯電話への動画コンテンツの配信は、インフラの充実によってこれからますます盛んになるはずです。私はずっとビジネスとしての映画について考えてきました。ある程度安定したビジネスモデルを映画というギャンブル性のあるビジネスで実現できないかと。その可能性を探る過程では、オン、オフとかフォーマルかそうでないかはあまり関係ないですね」

 浅見氏もまた、「プロデューサー型」の人材としてのワークスタイルを実践している一人であり、そこには「こうありたい」と願う「想い」が含まれていた。

月刊アイティセレクト」2007年9月号 特集「シャドーワークを使いこなすプロデューサー型社員を目指せ」より)

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