あの「ウイルス三つどもえ戦争」を忘れない女性システム管理者の憂鬱(2/4 ページ)

» 2007年08月21日 07時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

 ようやく情報が行き渡り、新たにワームを実行するユーザーもいなくなったところで、メールが復旧したとの連絡を受けた。ウイルス騒動が起こるたびに、1日で半年分のエネルギーを消耗するくらい疲れ果ててしまう。それでも、大きなウイルス騒動の後は、ユーザーの意識も一時的にせよ高まる傾向にあり、同じような騒ぎが連続することはほとんどなかった。ただ、Mydoomの亜種がその後も頻繁に出現していたため、社内への侵入が確認されなくとも、最新のウイルス情報と駆除ツールの案内を作成し、社内の注意を喚起することが、わたしのルーチンワークに新たに加わった。

感染力を増した難敵

 しかし予測に反して、それから20日も経たないうちに、また新たなウイルス騒動が持ち上がった。その日、遅番だったわたしは、10時半までに出社すればよかったのだが、8時半ごろには不穏を知らせるメールが入ってきた。

 「新種ウイルス発生。早めに出勤のこと」

 課長からだった。Mydoomの亜種だろうか。まだ支度途中だったわたしは、気もそぞろで取りあえずといった感じの化粧を終え、会社へと急いだ。

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 メールボックスには、既にウイルスソフトメーカーから新種情報が続々と届いていた。今度のウイルスは「Netsky.B」というワームの一種だった。ウイルスソフトメーカーは、前の晩に取りあえずその発生状況をつかんでいたようだが、一晩のうちに驚異的な速さで日本にも拡散してしまったらしい。朝6時の時点で、危険度は最高ランクのものに引き上げられていた。わたしの会社にも、各ウイルスメーカーが対応する以前にワーム付きメールが侵入していたようで、ネットワークにも影響が出始めていた。

 Mydoomの大打撃からそれほどたっていないというのに、また新たに現れたこの難敵も、メールに添付されたワームを実行することで、自分自身が添付されたメールを大量送信し、感染を広げていった。さらに、送信元を偽装するところまでもMydoomを踏襲していた。しかし、Mydoomとは異なり、メールだけでなくネットワーク共有も利用して拡散することから、その感染力は強度を増したという印象があった。

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