企業を取り巻く2.0はどこへ向かうのか?エンタープライズ2.0時代の到来(1/3 ページ)

エンタープライズ2.0はどのような意味を持つのか。そしてどこへ向かうのか。企業から寄せられたアンケート結果とともに、意味を探ろう。

» 2007年08月31日 07時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]

  エンタープライズ2.0とは、どのような意味を持つのか。このシンプルな疑問からオンラインムックPlus「ここまで来た!エンタープライズ2.0のトレンド」は始まった。毎週記事を書き、編集し、掲載し、読むことで、エンタープライズ2.0という単語はつかみどころがなく、比較的あいまいであることが分かった。

 企業によって定義が異なり万人に通じるものが存在しない。それならば、企業が考えるエンタープライズ2.0の定義を集め、その総意の先にあるものは何かを明らかにしようと考えたのがこの特集企画の発端だ。

 企画を進める中で、コクヨ、セールスフォース・ドットコム、日本IBM、日本オラクル、日立製作所、フィードパス、マイクロソフト(順不同)の7社からエンタープライズ2.0のメールアンケートの回答が得られた。この記事では、アンケートの結果から各社におけるエンタープライズ2.0の定義を見て、考察していこう。

質問1:企業のサービストレンドが、Web2.0からエンタープライズ2.0へと移行している流れをどうとらえているか

どのように始まったか

 これまでの経緯、そしてエンタープライズ2.0がなぜ求められているかについて、数社が言及していた。Web2.0の延長上にあり、企業利用で進化したことがその共通点だろう。

  • 「エンタープライズ2.0は、WebアプリケーションとHTTPをベースとしたアプリケーションAPI、すなわちWebサービスAPIの普及によって、企業内でのシステム構築が可能な環境が整ってきたことで出てきた動き。Web2.0型の環境を持ったエンタープライズアプリケーションへの移行期がきている」(フィードパス 取締役兼CTO 後藤康成氏)
  • 「Web2.0を取り巻くテクノロジーの中で最も重要なものはIPインフラの成長だ。ナローバンドからブロードバンドの環境が整い、Ajaxなどの技術が利用できるようになった」(フィードパス 後藤氏)
  • 「Web2.0の導入事例の大半は、IT部門以外の現場で始まり、それが会社の基盤となるものだ。また、従来の縦割り組織ではなく、組織横断でプロジェクトを進めるケースも増え、Web2.0的なITツールを利用した情報共有の基盤が必要」(マイクロソフト)

 Web2.0を運用する環境が整い、現場主導でWeb2.0を企業に導入する動きが出てきていることが分かる。

企業内の現状

 一方で、企業内の事例についてもアンケートで聞いた。ある企業は、インフラ整備が重要であると言い、また企業の取り組みだからこそセキュリティが重要であるという意見もあった。現状ではまだまだ整備されていないものだからこそ、今後の取り組みによって進化していくだろう。そう答えたベンダーもあった。

  • 「企業内のIPインフラストラクチャーはローカルネットワークに目を向けると、ギガビットイーサネットがWeb2.0以前から普及しており、そのベースはWeb2.0の潮流よりも1歩も2歩もリードしている。しかし企業内のアプリケーションソフトウェアはいまだにクライアント/サーバ型のアプリケーションが多く利用されており、Webアプリケーション環境は整っていない」(フィードパス 後藤氏)

セキュリティ

  • 「重要なのはセキュリティ。単なるネットワークシステムだけでなく、内部統制やJ-SOXといった法的な要素も求められる」(セールスフォース・ドットコム テクノロジー&アライアンス 執行役員 榎隆司氏)
  • 「セキュリティや情報保護の面などはまだまだ考慮されていない」(マイクロソフト)

 セキュリティを重要だと語る理由は、コメントにもあるように、企業内情報共有の場では社外秘情報や個人情報が多いからである。エンタープライズ2.0の導入にはセキュリティの整備が必要というのは、もっとも重視すべきものの1つかもしれない。

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