業務利用の多様化が進むスマートフォンモバイル機器からのネットワーク快適利用術(1/2 ページ)

日本にスマートフォンが登場して約2年。スマートフォンの企業導入が進む中で、ビジネスでの利用形態が多様化しつつある。

» 2007年09月03日 10時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

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 ウィルコムが国内初となるスマートフォン「W-ZERO3」を発売してから約2年。発売以来、スマートフォンの利用は個人ユーザーが大半を占めてきたが、企業への導入も少しずつ広がる。企業利用の拡大によって、スマートフォンを利用するための環境整備も着々と進んでいるようだ。

 モバイル機器と社内システムとのデータシンク(同期)サービスを手がけるインテリシンクの高久哲良テクニカルセールスマネジャーは、「最近では法律事務所や保険業界など、極めてセキュリティレベルの高い個人情報のようなデータを扱う業種でモバイル機器の利用が目立つようになった」と話す。

高久哲良テクニカルセールスマネジャー

 同社はこれまで国内外の約200社の企業にデータシンクサービスを提供してきたが、近年はスマートフォン端末を数百クライアント単位で導入するケースが増えつつあるという。

 データシンクサービスとスマートフォンを組み合わせる一番のメリットは、電子メールを携帯電話メールと同様に待ち受け状態のままでスマートフォン端末が受信することにある。「PCで電子メールをチェックするだけなのに何分間の起動時間ですらとても長く感じる。その点スマートフォンでは必要なメールを、ユーザーが操作しなくても自動的に受信してくれる」(高久氏)

 スマートフォンは、電子メールに加えてグループウェア上にあるスケジューラやアドレス帳データも頻繁に利用される。こうしたユーザーに属する情報(PIMデータ)の利用だけでなく、アプリケーションやファイルなどのシンクも可能だ。インテリシンクのIntellisync Mobile SuiteでもMicrosoftのExchange、IBMのLotus Notes、Sun MicrosystemsのStarOffice、サイボウズのガルーン6に対応し、スマートフォンを利用しやすくする環境が広がっている。

使い方の多様化

 スマートフォンの導入を考える企業は、PIMデータの有効利用を目的とするケースが多いものの、PIM以外にスマートフォンで業務データの取り扱いを検討する企業も少なくない。

 「最近の企業ニーズとして1台で数万円もするスマートフォンを導入するからには、もっと広く活用したいという付加価値を求める傾向が強まってきた」(高久氏)

 このため、今秋にリリースするIntellisync Mobile Suite バージョン8のサービスパックではスマートフォン活用の幅を広げる機能が追加される。その1つが「フォトシンク」と呼ばれる機能だ。

 フォトシンクは、カメラ機能を搭載するスマートフォン端末で撮影した写真データを自動的にサーバへアップロードする。社内からはWebブラウザを介して、アップロードされた写真データを閲覧したり、保存したりすることができる。

 例えば水道や電気、ガスなどのフィールドメンテナンス業務、工事現場の監督業務などでは、施工状況など現場の様子をデジタルカメラで撮影し、後から会社に持ち帰って報告書とともに管理者に提出するという業務フローが多い。フォトシンク機能を利用することで、現場から写真をリアルタイムに報告することが可能になる。

 高久氏は、「小売・流通では店舗の商品陳列棚のレイアウトをチェックしたり、保険業では事故現場の報告など、写真データが業務に必要とされるシーンで多彩な利用方法があるだろう」と話す。

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