入社までに「浮気」はさせない ≪後編≫有能社員をとらえよ、手放すな! デキる逸材の「獲得術」(1/2 ページ)

ちょっとはやりの内定者SNS。うまく活用するためには、「生きたまま」維持しなくてはならない。それには結構苦労もいるとか……。

» 2007年09月07日 06時00分 公開
[アイティセレクト編集部]

SNSを生かすために

 「内定者間の交流促進と会社側からの連絡手段として活用すること」を目的として設置されているワイキューブの内定者SNS。2006年入社組(35人)に用意したとき、社員で参加したのは人材開発室の2人だった。その一人である箱崎修一氏は、内定者同士のやり取りには入らないようにしていたものの、毎日全員の書き込みに目を通し、活性化させるためにコメントだけは満遍なく寄せた。

 そのコメントも、「プラス志向」で書き、やり取りを続けられるように配慮した。また、週に2、3回は一個人として日記もつけた。気を付けたのは、仕事に関連する話を避け、自分の意見を強く出しすぎないようにすること。「ハードルを下げて『距離感』を出さないようにした」(箱崎氏)という。そこに内定者がコメントをくれれば、きちんと「コメント返し」することも忘れなかった。

 「わたしたちの役目は、情報を更新する、『見る』楽しみを増やすこと。それは、彼らが見るきっかけになる。携帯電話からでも見てもらえる。何も変わっていないと見なくなる」と箱崎氏は話す。

ワイキューブの内定者SNSの画面

 SNSは会社が提供しているものであるため、箱崎氏らは「管理者」という立場で加わっているという側面もあった。内定者自身が自分の発言に責任を持てなかったり、知らないうちに社外秘情報をやり取りしてしまう可能性があるからだ。実際にある大手企業で、それによって問題が起きたという噂もあるとか。だからといって、一人ひとりの書き込みを逐一チェックしたわけではない。介入しすぎると、自由な発言の場として機能しなくなるからだ。この加減も難しいのだと、箱崎氏は教えてくれた。

 こうして交流の場を与えられた内定者らは、入社までにどんどんコミュニティーをつくった。マンガ部やクラ部(クラブ=かつてのディスコに相当)など、共通の趣味・興味で集まったものが5、6個あったという。

 35人の多くは関東と関西を拠点にしていたこともあり、「関東組」と「関西組」が自然発生的にできあがったということも。関東組が関西を訪れたり、その逆があったりしたようだ。従来であれば、研修などで会ったときに電話番号を交換するなどして、その「線」は地道につくっていかなければならなかった。SNSでは、それが一気にできてしまったのだ。

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