SilverlightはLinuxもサポート――MSの「Moonlight」プロジェクト(2/2 ページ)

» 2007年09月07日 05時30分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK
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 Microsoftは9月5日、TVのニュースショーのEntertainment Tonightや、Home Shopping NetworkおよびWorld Wrestling Entertainmentで、新しいSilverlightのユーザーエクスペリエンスを紹介するとともに、ソリューションプロバイダー、コンテンツ配信ネットワーク、ツールベンダー、デザイン事務所の間のコラボレーションを促進するプログラム「Silverlight Partner Initiative」を立ち上げた。

 Microsoftのチーフソフトウェアアーキテクト、レイ・オジー氏は、「魅力的で没入感をもたらすWebエクスペリエンスに対する人々の期待は日増しに高まっている。本日、Silverlight 1.0をリリースしたことで、開発者およびデザイナーはリッチでユニークな方法でデータとサービスを統合することにより、ユーザーが求める高解像度のエクスペリエンスを提供できるようになる」と発表文で述べている。

 政府機関向けにストリーミングメディアソリューションを提供しているサンフランシスコの企業、Granicusのトム・スペングラーCEOは、Silverlight 1.0を歓迎している。Granicusでは、公開の会合をライブおよびオンデマンドで放送するサービスに力を入れている。

 「Granicusでは、SilverlightによってMacとPCの間に横たわる技術的障壁を低くするつもりだ。これにより、当社の顧客は毎日24時間、効率的かつ効果的に有権者にアプローチできるようになる」とスペングラー氏は話す。

 Granicusでは、30州にわたる300以上の政府機関が含まれる同社の顧客ベースならびに見込客がSilverlightを利用できるようにし、さらにリッチなメディアコミュニケーション機能をこれらの顧客に提供する考えだ。「LinuxベースのSilverlightブラウザプラグインによって、当社の顧客がより効率的かつ費用効果の高い方法で市民にアプローチできるのであれば、われわれはそれをサポートするつもりだ」(同氏)

 Granicusのジャビアー・ミューニッツCTO(最高技術責任者)によると、Silverlightを利用すれば、同社はコンテンツをトランスコードしなくてもWindows Media Player以外のプラットフォームに対応することが可能になるという。

 「ビデオプレーヤーにインタラクティブ機能が追加され、.NETフレームワークでクロスプラットフォーム開発がサポートされることは、当社の顧客ベースの間でもイノベーションを促進する大きな要因になる」とミューニッツ氏は話す。「われわれは常に、ほかのプラットフォームにも対応することによって潜在的視聴者を増やしたいと考えており、SilverlightのLinuxバージョンは当社にとって大きなプラスになるだろう」。

 カナダのニューブランズウィック州セントジョンにあるAdvanced Publishingでは、「当社の新しいデジタル版ソリューションでSilverlightを必ず採用するつもりだ」と、同社のトリッシュ・コノリー社長兼CEOは話す。「われわれは今週、このフォーマットをベースとした新製品を発表する予定だ。数カ月かけてさまざまな技術を検討した結果、Silverlightを当社のビューワーフォーマットとして選んだ。当社の読者に訴求する強力なセキュリティとデータ機能を備えたベストな閲覧環境を提供したいと思ったからだ」。

 コノリー氏によると、Silverlightはほかのクロスブラウザフォーマット(FlashやJPEG/HTMLソリューションなど)と比べて大きな利点があるという。データ駆動型機能もそういった利点の1つで、これにより読者とライブデータのインタラクションが改善され、「読者のエクスペリエンスをカスタマイズしたり、ユーザーによるコンテンツ生成機能を提供することが可能になる」と同氏は語る。

 また共有機能は、「テキストおよびビデオのコンテンツをリアルタイムで共有することを可能にする」と同氏。高解像度のオンラインビデオをモバイル向けに縮小する機能、ビデオ/テキストコンテンツ用の検索エンジン最適化を改善するXMLベースの表現、配信したコンテンツを各種のデバイスからアクセスできるようにする機能など、オンラインビデオ関連の機能でもFlashより優れているという。

 「SilverlightがLinuxでも利用できるというのは、当社にとって間違いなくプラスになる。われわれは、できるだけ多くの人が当社の記事を読めるようにしたいと考えているからだ。Moonlightはまだ開発中であるのは知っているが、既に有望そうに見える」とコノリー氏は話している。

 ニューヨークに本社を置くMajor League Baseball Advanced Media(MLBの子会社)で企業コミュニケーションを担当するマシュー・グールド副社長によると、約1カ月前から同社のポータルで、ハイライト効果などのビデオプログラミングでSilverlightを利用してきたという。「さらに、当社のニュースコンテンツにSilverlightを組み込む作業も開始した。現在、MLB.TVで放映されるライブの試合でもSilverlightを利用できるようにする作業を進めている。Silverlightを利用したこれらの取り組みは、MLB.com上で、いっそうインタラクティブで魅惑的なメディアエクスペリエンスをファンに提供するものと信じている」とグールド氏は語る。

 Home Shopping Network(HSN)で先端サービスを担当するジョン・マクデビット副社長は米eWEEKの取材で、同社のネットワーク用にSilverlightを選んだ理由を次のように説明した。「Silverlightを利用すれば、プラットフォームにかかわらずビデオを中心としたリッチで魅力的なユーザーエクスペリエンスを提供できるようになるからだ。当社の素晴らしいブランドに顧客を引き入れ、彼らが斬新で楽しいやり方で当社の製品を探索することが可能になる」。

 マクデビット氏によると、HSNでは「非常に暫定的なSilverlightプレーヤーのβ版」をwww.hsn.tv上で立ち上げたという。「ページ自体にはまだ肉付けしていないが、このプレーヤーは既に稼働中であり、素晴らしく見える。今後、徐々にページとプレーヤーに機能を追加していくつもりだ」と同氏は話す。

 一方、Microsoftでは、インタラクティブメディア業界各社の参加と協力を促進すべく、Silverlight Partner Initiativeを立ち上げた。このプログラムはマーケティングと技術面で広範な恩恵を提供するもので、既に35社を超える企業が参加した。

 Silverlight 1.0のリリースに加え、Microsoftは「Expression Encoder 1.0」(従来は「Expression Media Encoder」と呼ばれていた)もリリースした。このツールは、Silverlight用のリッチなメディアコンテンツをコーディング、編集、公開する作業を簡易化する。

 Microsoftによると、Expression Encoderを利用すれば、マルチソースの切り替え機能や、コンテンツをサービス向けに発行する機能(Silverlight Streaming by Windows Liveなど)を利用したライブイベントの製作も容易になるという。

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