「モバイル接続でファイル共有を95倍高速化」――リバーベッドがWAN高速化ソフト(2/2 ページ)

» 2007年09月07日 16時04分 公開
[井上猛雄,ITmedia]
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 また、日本法人の遠井雅和代表取締役社長は、「国内ではモバイルユーザーが特に多い状況だ。Steelheadシリーズのファンクションを踏襲しながらそれらをすべてモバイルによって実現できる点は、大きなバリューになると考えている。従来からの既存ユーザーを含め、モバイル系で問題を抱えているユーザーに積極的に提案していきたい」と強調する。

画像 米Riverbed Technologyのポール・セラーノAPAC/Japan担当シニアマーケティングディレクター
画像 リバーベッド日本法人の遠井雅和社長

 同社はWAN高速化/最適化ソリューションの専業ベンダーであるという強みも大きい。「他社はモバイル向けにWAN高速化機能のサブセットとして一部の機能を提供している。一方、Steelhead Mobileは、従来のほぼすべての機能をサポートしている。他社のようにモバイル用途に機能を絞らず、低コストでソリューションを提供できる点が大きな差別化ポイント」(セラーノ氏)と胸を張る。

 同ソリューションは、センター側に配置する従来のSteelheadアプライアンスのほか、クライアント側に導入するSteelhead Mobileソフトウェアと、初期通信時に「どのプロトコルを高速化するのか」といったポリシー管理や接続ライセンシング処理(最大2000ユーザー)を適用したり、ユーザー情報のリポーティングなどを行う「Steelhead Mobile Controller」(SMC)で構成される。

 これらのコンポーネントによって、WAN上の遅延によるスループットの低下、特に携帯電話やPHSなどを利用した無線通信部分での遅延による影響を最小限に抑えることで、モバイルアクセス時のスループットを大幅に改善する。具体的な効果としては、帯域幅やアプリケーションプロトコルの非効率性などの問題を解消することが可能だ。なお、高速化にはセンター側にSteelheadアプライアンスを設置する必要があり、SMC自体は高速化の処理は行わない。

Steelhead Mobileの導入と運用。センター側にアプライアンスとSMCを配置し、Steelhead MobileソフトウェアをインストールしたクライアントPCから接続を開始。SMCからポリシーやライセンスを取得し、アプライアンスとの間で高速なデータ転送を開始できる

画像 Steelhead Mobileの導入例。センター側にアプライアンスとSMCを配置、MobileソフトウェアをインストールしたクライアントPCから接続する。接続時にSMCからポリシーやライセンスを取得する仕組み

 例えばSteelhead Mobileを導入することで、従来と比べて、「Windowsのファイル共有(CIFS)では最大95倍、メール添付ファイルの送受信では最大54倍、SharePointのようなWebアプリケーションのパフォーマンスでは最大63倍の高速化が図れる」という。また、使用帯域幅も97〜99%ほど削減できるとしている。

 本製品の受注はすでに8月23日より開始している。価格は、SMCコンポーネントが258万円。追加ライセンスは10ユーザー同時アクセスで69万円から。

 このライセンスについては、同時に何人がアクセスするかをSMC側で常時管理するプール方式を採用している。ユーザーごとにライセンスを配布せず、クライアント接続時にプールされているライセンスの1つを受け取る仕組みだ。これにより、モバイルワーカー3〜5人に対して1ライセンスで見積ることができ、導入コストを削減できるという。仮に既定の利用できる同時アクセス数を超えた場合には、ユーザーの通信を止めるのではなく、高速化機能なしでパススルーすることになる。SMCの価格には、30同時アクセス数分のライセンスが含まれている。

 製品全体の国内展開については、「販売パートナー支援、ソリューションパートナーとの協業強化、ハイタッチ営業の推進を掲げ、国内での足固めをしていく」(遠井氏)。

 またMobileソフトについて、セラーノ氏は「PCに搭載されるWindows以外の他OSでの対応も現在検討しているところ。ユーザーニーズを調査しながら投入する予定」という。

 今後、モバイル環境に対応するWAN高速化/最適化ソリューションは、ほかのいくつかのベンダーでも参入の計画があり、国内でのモバイル分野でのWAN高速化ソリューション導入にいっそう拍車がかかりそうだ。

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