リバーベッドがWAN高速化アプライアンスを拡充、3つの「S」を強化

リバーベッドテクノロジーはWAN高速化アプライアンス「Steelhead」シリーズのラインアップを強化。専用OSのバージョンアップでNFSのさらなる高速化も図った。

» 2006年09月15日 10時35分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 リバーベッドテクノロジーは9月14日、WAN高速化アプライアンス「Steelhead」シリーズのラインアップを強化するとともに、専用OSのバージョンアップを発表した。

 Steelheadシリーズは、一般にWAFS(Wide Area File Services)と呼ばれるアプライアンス製品の一種だ。データの圧縮/キャッシュに加え、LANでの利用を想定したCIFS(Common internet file system)プロトコルやTCPプロトコルそのものの最適化といったテクノロジを用い、WAN越しのデータセンターへのアクセスを高速化する。国内でもすでに、製造業やサービス業など数十社に導入されているという。

 同社はこれを「ワイドエリアデータサービス(WDS)」と称している。「Steelheadは、WANのパフォーマンスをLANと同等にするもの。これを活用することで、地理的に分散した従業員どうしが、あたかも1カ所にいるかのようにコラボレーションできる」(米Riberbed Technologyのプロダクトマネジメント担当ディレクター、ロブ・キロス氏)

 今回のモデル強化では、数千人クラスの大規模オフィス向けに、「Steelhead 5520」「同6020」など、5機種が追加された。このうち最上位機種となるSteelhead 6020は、最大で4万TCPコネクションに対応する。スループットは通常時で最大310Mbps、HS-TCP(High Speed TCP)を用いれば最大800Mbpsという。

 リバーベッドは同時に、複数のSteelheadでクラスタを構成し、負荷分散を実現する「Interceptor 9200」も発表している。これを組み合わせれば、1つのシステムで最大100万のTCPコネクションに対応し、4Gbpsのスループットを実現できるという。

 併せて、専用OSの「RiOS(Riverbed Optimization System) 3.0」もリリースされた。UNIX系のファイル共有システムであるNFS(Network File System)v3に、アプリケーションストリームライニングを提供することで、遅延を最適化。前バージョンでは5倍だったパフォーマンス改善効果は、最大55倍に向上するという。「グローバルに分散した製品開発やCAD/CAMといったシーンでコラボレーションが可能になる」(キロス氏)

 同時に、CIFS向けのパフォーマンス最適化機能が拡張され、VisioやSolidworksといったアプリケーションでの高速化を図った。ファイルの書き込み失敗や競合などが生じた際にも「セーフティに」パフォーマンスを改善する機能も盛り込まれているという。

 さらに、QoS機能の強化によって、TCPに加えUDPの最適化が可能となった。このQoS機能では、Steelheadで最適化されないパススルートラフィックについても、帯域幅や遅延をコントロールできるという。

 「一連の機能強化により、スピード/パフォーマンスとスケーラビリティ(拡張性)、シンプリシティ(簡便さ)を強化した」(キロス氏)

 価格は、Steelhead 6020が2380万円(税別)、Interceptor 9200が990万円(税別)。10月中旬より出荷を開始する。

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