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» 2007年09月13日 07時00分 公開

システム管理者のココロの栄養素:EAP――“待ったなし”のメンタルヘルス対策の切り札 (1/3)

毎年3万人を超える自殺者の9割がメンタルヘルス不全者といわれる日本。この危機的ともいえる状況の中、メンタルヘルス不全を予防する、ある従業員支援プログラムが注目されている。

[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

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 さまざまなストレスにさいなまれる現在の労働環境において、メンタルヘルス不全を訴えるビジネスマンが急増している。厚生労働省の労働者健康状況調査によると、メンタルヘルス不全を主因とする長期休職者は年間47万人、全体の0.5%におよび、休職による労働日数の損失は日本国内で1億日前後といわれている。

 人員補てんや休業手当などのコスト負担はもちろん、労災認定や周囲の社員へ与える影響による収益悪化などを換算すると、その損失金額は全体で数兆円規模になるという見方もある。

精神障害の労災補償数がダントツの専門技術職

 また、労災認定件数の職種別構成比推移状況として、厚生労働省が発表した「脳・心臓疾患および精神障害に係る労災補償状況(平成17年度)」の調査における、2001年度から2006年度までの統計によると、システムエンジニアやプログラマーなどが属する「専門技術職」の精神障害等労災補償数が、例年ずば抜けて高いことが分かる(図1)。同じく年齢別に見ると、30〜38歳における精神疾患が非常に高く、29歳以下の世代の労災認定率も年々高まってきている(図2)。

図1 図1●労災認定件数の職種別構成比推移状況(クリックで拡大)
図2 図2●労災認定件数の年齢別構成比推移状況(クリックで拡大)

メンタルヘルスケア契約企業の4割強がIT業界

 心の病気の専門クリニック「メディカルケア虎ノ門」を母体とし、職場のメンタルヘルスケアに特化する「メンタルヘルス・リサーチ&コンサルティング」(MRC)では、同社に来院する患者の年齢層も同様な傾向を示しているという。

 「さまざまな企業からの問い合わせが急増しているが、特にIT業界からの問い合わせが約半数を占め、メンタルヘルスケアの契約を結ぶ企業の4割強もIT業界」と話すのは、MRCの林俊秀副社長だ。

 林氏は、一概にIT業界全体で精神障害が増えているとみることはできないとした上で「この業界におけるメンタルヘルス不全の要因をさまざまな角度から検討・分析する時期に来ている」と説明する。大きな要因として、過重労働や就業時間の長さ/不規則さ、(サーバ管理者など)連続した心理的圧迫のほか、短期間で離合集散するプロジェクトや労働集約型の業務形態、業界の変化の早さに対するプレッシャー――などを挙げる。

画像 メンタルヘルス・リサーチ&コンサルティングの林俊秀副社長

 また、役割の変化からの発病も多いという。好きな専門技術を生かしたいと入社しても、スキルのある中堅クラスほどプロジェクトリーダーとしての能力も求められる。若手の育成や顧客管理に気を配らなければならない。それがうつ病の主な要因となっている。本来ならうれしいはずの昇進/昇格が、重いプレッシャーとしてのしかかるケースだ。

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