教育の充実で地球環境を改善できる――ジョージ・ルーカス氏Dreamforce 07 Report(2/2 ページ)

» 2007年09月21日 18時25分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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世界を救おうとするのではなくまずは自分たちを救う

 ここから話題は地球規模へと発展する。世界的に人口が増え、教育もままならない状況も多い。やがては人類も滅びるのだろうかという話題に対し、ルーカス氏は次のように語った。

 「人間だけに限らず、すべての生命体は潜在能力を持っており、その最大の目標は生き延びることだ。バクテリアは過酷な環境でも生き永らえるが、人間にはその能力はない。代わりに人間には、発達した脳がある。知識を活用することで、人類は生き延びるはずだ」(ルーカス氏)

 いずれ地球という惑星は、駄目になるときが来るであろう。それがいつになるかは分からないが、そのときには人類は生き延びられる場所に移動するだろう。地球が滅びようとしていることに対し、人類は早くからそれに対応しなければならない。その際に、世界を救おうと考えるのではなく、自分たちを救うことを考えるべきだ、とルーカス氏は主張する。

 すべては関連しつながっていることを理解し、その観点から物事を見る必要があるという。つながっているので、自分たちを守ることを考えれば、おのずと地球環境も良い方向に向かう。自分たちを守るためには教育が大事な要素だと、教育の重要性をここでも改めて指摘する。

 「私は楽観的なので、まだまだ人間は大丈夫だと思っている。ただし、教育ということをきちんと行い、生存のチャンスを増やす努力は必要だ。枠を決めてしまうと、人間はそこに何でも押し込もうとする。同じ枠の中でしか物事を考えられないと、新しい事は学べない。外からものを見る目が必要だ。同じような考えの人ばかりでは駄目で、違う考え、違うものの見方が必要だ」(ルーカス氏)

 他人と意見が合わなければ話をする。コラボレーションが重要であり、ネットワークは人と人を結びつけるために利用されなければならない。教育でもコラボレーションについて学び、お互いが共存して生きていく方法を身につけなければならない。これがルーカス氏の主張だ。

 目の前の障害を取り除くのではなく、教育によって自分たちが生き続けることを学んでいけば、おのずと環境は改善する。一見遠回りにも思えるが、この方法が実は確実で最も効果の高いものかもしれない。技術ばかりに目を向けると、どうしても効率を優先しがちだ。ルーカス氏の講演は、立ち止まり他者の意見を聞き考え学ぶという姿勢が、子供たちばかりではなく大人にとっても重要なことだと気づかせられるものだった。

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