「サービスデスク」導入は即効性アリ!?初心者歓迎! ITIL連載講座(2/3 ページ)

» 2007年09月27日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]

サービスデスクの役割を知る

 次に、「サービスデスク」について説明しよう。サービスデスクは「お客様窓口」であり、ユーザとプロバイダを結びつける単一の窓口(SPOC:Single Point Of Contact)となり得る機能のことである。

 またカメラメーカーを例にとろう。カメラが壊れてしまった場合、最初に困るのは「どこに修理を依頼すべきか分からない」ということである。たいていの場合は購入した販売店に依頼するだろう。販売店はそのカメラを預かり、カメラメーカーに修理を依頼する。ユーザは販売店とカメラメーカーとの間でどのようなやりとりがなされるか、知っている必要はない。最終的には、カメラが修理され、返却されればよいのである。

 カメラの電池が切れた時にどの電池を買えばよいか分からない、という際にも、販売店が相談に乗ってくれると、ユーザの立場として心強い。逆に、あちこちたらい回しにされたら、ユーザは不満をつのらせるだろう。その不満は、(たとえ原因が販売店であったとしても)カメラメーカーに向けられることが多い。そのため最近では、各メーカーが自社で問い合わせ窓口を設けていることも少なくない。(しかしこの電話がなかなかつながらず、結局ユーザの不満を増幅させる結果になっていたりもする)

駆け込み寺の存在が安心感をもたらす

 このように、ユーザが何らかの問い合わせ(トラブルコール、使い方の質問、クレーム、パスワードを忘れた時の対応、要望、その他さまざまな相談)をしたいと思ったときに、どんなことでもここに問い合わせれば必ず受け付けてくれる(そしてたとえ時間がかかったとしても解決してくれる)という窓口を設けることは、非常に重要である(図2)。サービスデスクはトラブルだけでなく、ITサービスに対するありとあらゆるリクエストを受け付ける、ユーザにとっての「駆け込み寺」的存在になるべきである。

図2:SPOC(Single Point Of Contact)としてのサービスデスクの役割

 ユーザからの問い合わせ窓口を一元化することは、IT運用部門にもさまざまなメリットをもたらす。情報の入り口が一元化されることで、情報の散逸を防ぐことができる。対応の優先順位を決めやすい。きちんと記録をつけておけば、同様のサポートに対して迅速に対応できる。ノウハウを溜めれば、ユーザからの問い合わせ1件当たりの回答時間が短縮できる。効率化と最適化が図られれば、IT運用部門の残業も減るかもしれない。さらに、たまったノウハウを、サービスデスクを通じてユーザに積極的に提供することで、問い合わせ件数自体を減らせるだろう。

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