「サービスデスク」導入は即効性アリ!?初心者歓迎! ITIL連載講座(3/3 ページ)

» 2007年09月27日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]
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サービスデスク導入にあたって

 現在サービスデスクに相当する部門を持っていない企業は、IITLを本格的に導入する予定がないとしても、このサービスデスクだけは導入することを、強くお勧めする。筆者の経験では、比較的短期間(企業の規模や文化にもよるが、おおむね3カ月程度?)で如実に効果が現れるケースが多い。

 サービスデスクを初めて導入する際、サービスデスクの担当者にITに関する豊富な知識がある必要はない。むしろ問い合わせてくるユーザに対しての接遇スキルが身についているほうが望ましい。サービスデスクのことを1次サポートともいう。1次サポートで解決できない機能的な問題は、よりITに詳しい2次サポートに引き継ぐ体制を整えておく。このような引き継ぎのことを、「機能的エスカレーション」という。

 同様に、1次サポートでは判断に困るような問い合わせ、全社的に影響が出るようなIT環境の変更要求などは、社内のビジネスとITとの関連がよく分かっている部門長や経営者層(いわゆるITILで言うところの顧客)に引き継ぐ体制も必要である。このような引き継ぎは、「階層的エスカレーション」という(図3)。これらのエスカレーションの体制を徐々に整えていくことで、サービスデスクはユーザにとって「頼れる存在」になっていくのである。

図3:機能的エスカレーションと階層的エスカレーション

情報の記録を重視する

 サービスデスク導入にあたってもうひとつ固めておきたい点が、「情報の記録」である。ユーザからどのような問い合わせがあったのか、それに対してどのように対応したのか、機能的/階層的エスカレーションは必要だったのか、その問い合わせは処理が終わってクローズしたのか、といったさまざまなことを必ず記録するようにする。

 もちろんその記録は同様の問い合わせに対して迅速に対応できるようにするために検索性が良いものでなければならないし、問い合わせのトレンド(傾向)が分析できるようさまざまな角度から集計できるようなものでなければならない。そのため、問い合わせを記録するための専用のツールを導入することを検討するのが良いだろう。また、サービスデスク担当者にはそれなりの文章作成能力が要求されることはいうまでもない。

 繰り返しになるが、問い合わせに対する情報がたまってきたら、同様の問い合わせは1次サポートで解決できるようになり、問い合わせに対応する効率が上がる。また、問い合わせに対するトレンドを分析して能動的に情報発信すれば、問い合わせそのものの件数を減らすことにもつながるだろう。

 その結果、ユーザのITに対する満足度が向上したり、トラブルを未然に防いだり、解決時間が短縮したりといったさまざまな効果が期待できるのである。IT運用担当者にとっても、作業効率が上がったり、作業そのものが減ったり、結果的にユーザを教育することにつながったり、ユーザの要望を体系的に整理できたり、さまざまなメリットがある。サービスデスクは、IT運用にとって最も重要な部門であると言えよう。

※本連載の用字用語については、ITILにおいて一般的な表記を採用しています。

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