アマゾンの生鮮品宅配は危険領域!?――先進ネット企業の次の一手グローバル化するプラットフォーム(1/2 ページ)

米インターネット企業の動きが活発だ。グーグルやアマゾンは、これまでのWebサービスからソフトウェア、コンテンツ、流通など事業の幅を広げている。その動向を追う。

» 2007年10月09日 07時00分 公開
[成川泰教,アイティセレクト]

 ブロードバンドの普及がもたらすブログや動画の利用拡大において、米国では情報発信に対する生活者のスタンスに、YouTubeを新たな民主政治の場として開拓するなど質的な意味では日本と大きな格差が出ている(参照記事)。また、モバイルが日本の状況とはまったく異なる展開で、成長期に入ろうとしている状況がある。

 ブロードバンドとモバイルをキーワードに、インフラで先行したとされる日本のインターネットだが、その意味での日米格差はかなり縮小しつつある。代わって、インフラ上に流通するサービスやそれを形成するソフトウェアの付加価値が増すというのはよくいわれる。一方、サービスの質を高める上で、利用者の姿勢や意識というものが非常に重要になってきているというのも、新世紀情報社会の確実な特質になりつつある。ITビジネスにおける生活者視点とはすなわちそういうことだ。

 今回は、そうした米国のインターネット市場をけん引するトップベンダーの最近の動向についてまとめてみたい。

ソフトウェアを顕在化させるグーグル

 グーグルについては、2つの大きな流れを挙げておく。1つはアプリケーションサービスの対象が個人から法人に拡大していること。もう1つは、モバイルへの進出が日増しに加速していることである。

 その両者が重なる領域として、日本のモバイルキャリアでグーグルのサービス導入が相次いでいるのは非常に象徴的である。2006年の検索サービス導入に続いて、auがPCと共通のメールサービスのプラットフォームとしてグーグルを採用したのは記憶に新しい。また、モバイルに最適化されたグーグルの地図情報サービスは、国内ではまずNTTドコモが採用した。おそらくこのアプリは、アップルの「iPhone」に搭載されているものと同じプログラムをベースにしていると思われる。

 実際に触れてみて、PCとほとんど変わらないその使用感に、最高水準のプログラミングのセンスを感じずにはいられなかった。グーグルは、ますますソフトウェアベンダーとしての色彩を強めている。

 検索・広告事業でライバル関係にあるヤフーは、業績の伸びにブレーキがかかったまま。トップの交代や組織改革、広告を中心にした買収などが続いているが、成長を取り戻すにはまだ曲折がありそうだ。本家とは対象的に好調なヤフージャパンにヤフーは3分の1を出資していることから、ソフトバンクグループがヤフーの現状をどう見ているのかは、気になる点ではある。

「超流通」を地で行くアマゾン

 米国でもEC市場は拡大の一途だ。元来、通信販売が流通の中で大きな市場を築いてきた国だけに、11年には小売りに占める比率が10%に届くのではとの予測もある。その中で、伝統的な通販モデルをベースに成長を続けるのがアマゾンだ。黒字化はほぼ定着し、売り上げも国内外ともに拡大が続いている。

 アマゾンもグーグル同様にソフトウェア開発に多額の投資をしていることはよく知られている。06年は、Webサービスの延長としてコンピューティングとストレージのオンデマンドサービスを発表し業界を驚かせたが、CEOのベゾス氏自身が認めているように、それらは同社にとってあくまでも長期視点での事業の種まきという位置付けだ。最近ではWebサービスベースの決済サービスを発表するなど、依然ソフトウェア領域での動きも活発であるが、アマゾンにとってのメイン戦略はやはり「流通」の領域にある。

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