PRIMEQUESTにもSolaris? 4つのサーバ群を抱える富士通の葛藤ITトレンドの“眼”(2/2 ページ)

» 2007年10月10日 07時00分 公開
[松岡功,ITmedia]
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基幹サーバとしての位置付けがあいまいなPRIMEQUEST

 今年度から同社のサーバ事業の陣頭指揮を執る富田達夫経営執行役常務システムプロダクトビジネスグループ長は、同事業について説明会でこう語った。

 「当社のサーバ関連プロダクトは2005年度を底に成長へと転じ、オープン比率が拡大する中でも利益体質を維持しており、今後も4種類の製品ラインを継続・拡充していく」

画像 富士通のサーバ事業戦略を説明する富田達夫 経営執行役常務システムプロダクトビジネスグループ長

 4種類の製品ラインを継続・拡充――この言葉はすでにそれぞれの製品ラインで多くの顧客を持つだけに、同社としては当然の戦略だろう。とはいえ、最も注目されるのは、4種類の製品ラインの中で一番歴史が浅く、思惑通りに販売が伸びていない基幹IAサーバのPRIMEQUESTに対するテコ入れをどうするかだ。

 富田氏はPRIMEQUESTについて、「戦略が間違っているとは思わない。ただ、(IAサーバで基幹を担うという)もともと存在しない市場を開拓していかないとこの分野は成り立たない」との認識を示した。

 そこで記者からこんな質問が出た。

 「PRIMEQUESTのテコ入れ策として、OSにLinux/Windowsだけでなく、Solarisを採用する考えはないか」

 これに対し、富田氏は「Solaris on SPARCのUNIXサーバが製品ラインになかったとしたら、戦略としてはあり得るかもしれない。PRIMEQUESTは当面、Linux/Windowsで行きたい。ただ、時間軸とともに状況が変われば、あり得るかもしれないが……」と微妙なニュアンスを残しながら現状を維持する考えを示した。

 確かに、将来の基幹サーバと位置付けたPRIMEQUESTでSolarisが使えるようになれば、それは富士通にとってメインフレームだけでなくUNIXサーバをもPRIMEQUESTに置き換えることを意味するだけに、一大戦略転換の覚悟が必要だ。しかし、このままではPRIMEQUESTの活路がなかなか見いだせないのも現実である。

 富田氏は、サーバ事業の責任者として前任者との違いを問われてこう答えた。

 「4種類の製品ラインを継続・拡充していくことに変わりはないが、リソースの配分などウエートのかけ方において、わたしなりの判断を行っていきたい」

 同社のサーバ事業が抱える“葛藤”を富田氏がどのようにさばいてみせるか、注目したい。

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