成果主義の悪夢? 部下の運命を左右する上司の「ひと言」女性システム管理者の憂鬱(2/4 ページ)

» 2007年10月11日 07時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

 そんな評価制度の微妙なさじ加減が分かってくると、評価される側は、上司の評価の“ツボ”に合わせて上手に振る舞う者もいれば、マイペースを貫き自分の仕事を評価してくれる上司の登場を待つだけの者もいる。もともと頑固者のわたしは、どちらかといえば後者のタイプだった。まあ、そのうち気が合う上司に当たれば、いい評価がもらえるだろうと、上司に気に入られるために何かするというよりは、上司とけんかしてでも我を通すような仕事のやり方を貫いていた。

「それってどれだけ?」

 そんなマイペースタイプのわたしがシステム管理者となって数年、またまた何度目かのレビューの季節を迎えていた。

 今回の一次面談は、課長と1対1のいつものようなパターンではなく、最初から新しく赴任してきた部長も同席するという。そのこと1つとっても、「お、今度の部長は力の入り方が違うな、今までのおじいちゃん部長とは違って、前向きに仕事に取り組もうという気持ちのある上司かもしれない」――そんな期待を抱かせるのに十分なものだった。

 実は、その期のレビューは、わたしが折衝業務の多い担当となって初めて迎えるものだった。この担当に替わったことで、自分の手でものを形作っていく今までの仕事とは異なり、泥臭い対外折衝により人を動かすことが求められるようになった。部署内で行われた担当替えだったため、評価する課長や部長の所属は前と変わらず、わたしの期待・役割だけが変わるという変則的なものだったのだ。そんな状況で、評価ポイントがどう変化するのかも興味深い。

 そうして迎えたレビュー当日。課長と部長が待つ会議室のドアを緊張の面持ちでノックすると、中から「入りなさい」という聞き慣れた課長の声がした。ドアの向こうには、上座に部長、その横には課長が大きなファイルをいくつも並べて待ち構えていた。

課長:「それではレビューシートに沿って、今期の苦労した点、力を入れた点を説明してください」

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